開閉・伸縮・マグネットなど動く仕組みのアクセサリーを特注する
開閉する・伸び縮みする・マグネットで着け外しするなど、動く仕組みのあるアクセサリーも特注できる場合があります。ただし、動く部分は1つの型から一体では鋳造できません。
本体を鋳造で作り、ばね・ヒンジ(蝶番)・磁石・ネジなどの部品を組み合わせるのが基本です。こうした機構の部品は、既製品を使うのが一般的です。
動く仕組みは、仕様によってはお受けできます。部品の手配と組み立て、動作の確認が増えるぶん、費用がかかります。仕組みごとの作り方と、動かさずに済ませる代替案を見ていきます。
仕組みごとの作り方
よく相談される仕組みを、作り方の考え方で分けます。
| 仕組み | 作り方の考え方 | 主な部品 |
|---|---|---|
| ふたが開く(ロケット) | 本体とふたを別に作り組む | ヒンジ・留め |
| 耳を挟む(イヤリング) | 本体に既製金具を付ける | ばね・ネジ |
| マグネットで着脱 | 本体を仕上げてから磁石を組む | 磁石 |
| 輪が回る | 外と内の輪を別に作り組む | 軸となる部分 |
| サイズが変わる | 開口の形か、スライドの部品 | 形状か既製部品 |
どの仕組みでも、本体と部品をつなぐ接合部には、着け外しのたびに力が集まります。壊れやすさは設計で変わるため、どこに力がかかり、どう受けるかを先に決めておきます。
ネジで付け外しする形では、素材にも注意します。SV925は比較的やわらかく、付け外しを繰り返すとネジ山が潰れやすいためです。ネジの部分の工夫と、ネジ式が向かない使い方はネジで付け外しできるアクセサリーにまとめています。
ロケットの詳しい作り方はロケットペンダントのオーダー、耳に留める金具はイヤリングのオーダーメイド製作で解説しています。
マグネットを使う場合の注意
磁石は、鋳造やロウ付け(金属どうしの接合)の熱に耐えられないのが一般的です。そのため、本体の研磨やメッキを終えてから、最後に組み付けます。
- 磁石を収める受け皿を、本体側に設計しておく
- 磁石の大きさで、本体の厚みが決まる
- 引っ張る向きによって外れやすさが変わる
- 重いトップを磁石だけで支える設計は避ける
磁石を使う商品は、医療機器を使う方への配慮を注意書きに入れます。小さな子どもが手にする商品では、磁石が外れたときの誤飲にも注意が必要です。
ネックレスの留め具だけをマグネットにしたいなら、既製のマグネット式クラスプで足りることがあります。留め具の種類はネックレスの留め具の種類で比べています。
カニカンが留めにくく、ブレスレットを片手で着けたいという相談なら、マグネット・トグル・開口型バングルの扱いやすさを片手で着けられるブレスレットの留め具で比べています。
伸縮・サイズが変わるリング
金属のリングそのものは伸び縮みしません。サイズを変えられるようにする方法は、主に2つです。
- 輪の一部を開けた開口の形にして、少し広げたり狭めたりする
- 2つの部品をスライドさせて、輪の大きさを変える
開口の形は動く部品がないため、部品の交換や組み立ての費用を抑えやすい方法です。ただし、同じ場所を繰り返し曲げると金属に疲れがたまって折れるため、一度合わせたら動かさない前提で設計します。条件と限界はフリーサイズ(開口)のリングで説明しています。
スライドの仕組みは部品が増え、すき間に汚れが溜まりやすくなります。毎日着けるリングなら、まず開口の形で足りないかを検討してください。
ネックレスの長さを少し変えたいだけなら、伸縮の仕組みを作らなくても、留め具の間に延長パーツを挟む方法があります。既製の延長チェーンで足りるかの見分け方はネックレスの延長パーツ(アジャスター)を作るにまとめています。
強度と動作を製作前に詰める理由
動く部分は、着け外しのたびに力がかかり、少しずつすり減ります。図面や3D画像では、動かしたときの硬さやゆるみはわかりません。
| 製作前に決めておくこと | 見方 |
|---|---|
| 開け閉めのしやすさ | 指先だけで操作できるか |
| 保持力 | 着けて動いても開かないか |
| ゆるみ | 何度か動かしたあとにガタつかないか |
| 引っかかり | 髪や服に引っかからないか |
数量を作る前提なら、動作の合格ラインを製作に入る前に決めておくのが安全です。使い心地を見てから数を決めたいときは、まず1個作り、使ってみてから同じ原型で追加する方法もあります。
1個の特注では、3Dデータの段階で動く部分の形を確認してから製作に進みます。参考になる現物の金具がある場合は、形にしやすい部類です。
一方、まったく新しい着脱・開閉の仕組みは、動くまで設計の確認と修正を繰り返すため、時間と費用がかかります。
1個の特注でも、オリジナルの形には設計・原型の費用がかかります。動く仕組みが加わると、部品と組み立ての費用が上乗せになります。
動かさずに済ませる代替案
動く仕組みが商品の核でないなら、動かない形にしたほうが壊れにくくなります。
- 開閉の代わりに、外側へ言葉や模様を刻む
- 伸縮の代わりに、開口の形やサイズ展開にする
- 回転の代わりに、揺れるチャームで動きを出す
- 専用の機構の代わりに、既製の金具を組み合わせる
一方、次のような場合は動く仕組みに向きません。
- 数mm程度の小さな本体に機構を入れたい
- 強く引っ張られる、ぶつけやすい使い方をする
- 部品の交換や修理の手段を用意できない
難しくなりやすい形の考え方は製造が難しいデザイン例と代替案にもまとめています。
まとめ
- 動く部分は一体で鋳造できず、本体と既製の機構部品を組み合わせる
- 磁石は熱に弱いため、本体を仕上げてから最後に組み付ける
- サイズが変わるリングは、まず開口の形で足りるかを検討する
- 動く仕組みは操作・保持力・ゆるみの合格ラインを製作前に決め、必要ならまず1個作ってから追加する
- 動きが核でなければ、動かない形や既製金具で置き換えたほうが壊れにくい
どこを、どの向きに、どれだけ動かしたいかを、ラフや参考画像と一緒にご相談ください。形を伺って、費用とあわせてご案内します。
この記事の内容で、製作を考えている方へ
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