ロストワックス鋳造を自宅でするか外注するか|設備・安全・仕上がりで比べる
シルバーのロストワックス鋳造は、個人が自宅で試すこともできます。ただし耐火の埋没材、型を焼く炉、銀を溶かす熱源、金属を押し込む装置がそろって初めて、仕上がりが安定します。
作品を数点だけ作るなら、鋳造は外に頼み、原型づくりと磨きを自分でするのが現実的です。鋳造そのものを趣味として楽しみたいなら、設備と安全の準備をしたうえで小さな物から始めます。
この記事は、ワックスで作品を作っている個人の方に向けて、自宅で鋳造するのに必要なもの、外注との違い、工程の分け方をまとめます。
自宅で鋳造するのに必要なもの
ロストワックス鋳造は、ワックスを石こうのような材料で包み、焼いてワックスを抜いた空洞に金属を流し込む方法です。工程ごとに道具が要ります。
| 工程 | 必要なもの | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 埋没 | 鋳造用の耐火埋没材、鋳造リング(筒) | 普通の石こうは高温に耐えられない |
| 脱ろう・焼成 | 温度を管理できる電気炉 | 温度と時間の管理で型の割れが変わる |
| 溶解 | ガスバーナーなどの熱源、るつぼ | 量が増えると溶かしきれない |
| 鋳込み | 遠心・真空・吸引などの装置 | 押し込む力が弱いと細部が欠ける |
| 仕上げ | 埋没材を落とす道具、湯口を切る道具、研磨の道具 | 鋳造後の磨きに一番時間がかかる |
知恵袋でも「普通の石こうで大丈夫か」「ゴム管は熱に耐えるか」という質問があり、回答は鋳造用の耐火埋没材を使うこと、湯道はワックスで作ることでした。手持ちの材料で代用すると、型が割れたり金属が噴き出したりします。
安全のために決めておくこと
鋳造は、千度近い熱と溶けた金属を扱う作業です。自宅でやるなら、作業の前に次の点を決めます。
- 火を使ってよい場所か、燃える物が近くにないか
- 換気ができるか。焼成や溶解では煙やにおいが出る
- 耐熱の手袋、保護めがね、燃えにくい服を用意したか
- 埋没材の粉を吸い込まないよう、マスクを着けるか
- 溶けた金属を落としても燃え広がらない床や台か
集合住宅の室内や、家族が出入りする台所での作業は避けるのが無難です。
自宅と外注の判断表
どちらが向くかは、作る数と、鋳造そのものを楽しみたいかで決まります。
| 状況 | 向く方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 作品を数点作りたい | 外注 | 設備をそろえるより早く、仕上がりも安定する |
| 鋳造の工程そのものを学びたい | 自宅、または教室 | 失敗も含めて経験になる |
| 同じ形を何個もそろえたい | 外注 | ゴム型と複製ワックスの設備が要る |
| 金やプラチナで作りたい | 外注 | 溶かす温度が高く、地金も高価で失敗の損が大きい |
| 細い線や薄い面が多い | 外注 | 押し込む力と温度の管理で差が出る |
同じ形を複数作る設備までそろえると、個人で元を取るのは難しいという声も知恵袋にあります。数を作る段階では、鋳造だけ外に出す人が多いのはこのためです。
自分でやる工程と頼む工程を分ける
自宅か外注かの二択ではなく、工程ごとに分ける方法もあります。
| 工程 | 自分で | 外に頼む |
|---|---|---|
| 原型(ワックス・3Dデータ) | 作品の個性が出るので自分で | 寸法の正確さが要るときはデータ化を頼む |
| 鋳造 | 設備と安全の準備ができたら | 設備がない、数を作る、金やプラチナ |
| 磨き・いぶし | 道具が少なくても始めやすい | 数が多い、鏡面をそろえたい |
| メッキ・石留め | 設備と技術が要る | 基本は頼む |
ワックスを彫って鋳造に出すときの寸法と送り方は、ワックス原型を自分で彫って鋳造に出すで詳しく説明しています。鋳造の工程の全体はロストワックス鋳造とはで図解しています。
よくある失敗
- 普通の石こうで型を作り、焼いたときに割れた
- バーナーの火力が足りず、銀が溶けきらないうちに固まり始めた
- 押し込む力が弱く、細い模様の先が欠けた
- 換気をせずに焼成し、部屋に煙とにおいがこもった
気をつけること(ここにまとめます)
- 自宅での鋳造は火と高温の金属を扱うため、やけどや火災の危険があります。この記事は道具と考え方の整理にとどめ、温度や時間の具体的な条件は書いていません。実際に始める前に、材料や装置の取扱説明書を確認し、教室などで一度手順を見てから行ってください。
GEMILYAに頼む場合
- 鋳造は国内の提携工場に委託し、磨きや仕上げは自社の工房と国内の協力先で行う
- 3Dデータ・現物・手描きのラフから相談でき、自作ワックスは写真と寸法で受付可否を確認してから送る
- 地金はシルバー925・K18・K10・Pt900・真鍮・ステンレスの6種類で、1個から作れる
シルバーで作る場合の条件はシルバーアクセサリーのOEMで確認できます。
まとめ
- 自宅鋳造には、耐火埋没材・電気炉・熱源・押し込む装置がそろう必要がある
- 火・煙・粉への備えを決めてから始める
- 数点の作品や同じ形の複製、金やプラチナは外注が向く
- 工程ごとに、自分でやる部分と頼む部分を分けられる
自分で作った原型を金属にしたいときは、無料相談で原型の写真と希望の素材からご相談ください。