ロストワックス鋳造を依頼する方法|個人でも1個から・データや原型の準備
ロストワックス鋳造は、3Dデータ・現物・手描きのラフのどれかがあれば依頼できます。個人の1個の特注(一点もの)でも、ブランドの小ロットでも受け付けています。
手元にあるものによって、鋳造の前に必要な準備が変わります。3Dデータがあれば原型データの制作費は不要で、現物やラフからは当社でデータを起こします。
鋳造だけを頼む必要はありません。研磨・メッキ・石留めまで一括で依頼できるため、届いたものをそのまま身に着けたり販売したりできます。
持ち込めるものは3種類
依頼の入口は、手元にあるものの種類で決まります。どれから始めても、最終的には鋳造用の3Dデータをそろえる点は同じです。
| 手元にあるもの | 当社で行うこと | 用意するもの |
|---|---|---|
| 3Dデータ | 状態の確認と修正の要否の連絡 | .3dm/.stl/.igs/.stp、完成寸法の図 |
| 現物(権利のある品) | 3Dスキャンでデータ化し、製造用に調整 | 現物、変えたい点のメモ |
| 手描きのラフ・画像 | 3D CADで原型データを制作 | ラフ、参考画像、希望の寸法 |
3Dデータの持ち込みは、Blenderなどで自作したものでも構いません。書き出し後の実寸をmmで確認してから送ると、確認が早く進みます。
詳しくは自作3Dデータの鋳造にまとめています。
現物からのデータ化は、依頼者に権利のある品に限ります。他社製品の複製はお受けできないため、購入品の写しを作る依頼は成立しません。
手順はジュエリーの3Dスキャンで確認できます。
ラフからの場合は、当社で原型データを作る工程が加わります。1個の特注でも、オリジナルの形には設計・原型の費用がかかる点は省けません。
鋳造だけでなく仕上げまで一括で頼める
鋳造したままの金属は、表面がざらつき、湯口(金属を流し込んだ跡)が残っています。そのままでは身に着けられないため、仕上げの工程が必要です。
当社では、次の工程を鋳造とあわせて依頼できます。
- 研磨:鏡面・マット・ヘアライン、いぶし(SV925のみ)
- メッキ:K24/K23/K18/青金/ピンク/ロジウム/ブラックロジウム/ルテニウム(真鍮も可、部分メッキも可)
- 石留め:爪・彫・升(パヴェ)・フクリン・ミルグレイン、1ピースから
- 刻印:レーザー刻印、または原型への彫り込み
石は持ち込みが可能で、調達はご相談ください。チェーンは既製品を仕入れて組み合わせるため、チェーン込みの完成品納品もご相談ください。
工程を分けて別の業者に頼むより、一括のほうが寸法の食い違いが起きにくいです。石座の大きさやメッキ前の研磨の程度を、同じ窓口で調整できるためです。
選べる地金は5種類
本体を鋳造できる地金は、次の5種類です。ステンレスやチタンで本体は作れません。
| 地金 | 特徴 | 向く依頼 |
|---|---|---|
| 真鍮 | 地金代が軽く、メッキで色を選べる | 数量を作る商品、色展開 |
| SV925 | 銀の定番。いぶし仕上げも可 | 1個の特注から小ロットまで幅広く |
| K18/K10 | 金の色をそのまま出せる | 地金の価値を重視する品 |
| Pt900 | 白い色と重さのある地金 | 婚約・結婚関連など |
真鍮で本体を作り、ロジウムや金色のメッキで仕上げる依頼は、アクセサリーブランドでよく選ばれます。ゴールドフィルドは対応していません。
工程そのものの仕組みは、ロストワックス鋳造とはで図解しています。
鋳造できないデータの典型
データの見た目が整っていても、鋳造の段階で不良になる形があります。相談時によく指摘する典型を整理します。
| 状態 | 起きること | 対処 |
|---|---|---|
| 肉厚が足りない | 金属が回らず欠ける、曲がる | 薄い部分を厚くする |
| 閉じた中空 | 内部の型材を出せず、鋳造できない | 中空をやめるか、抜き穴を設ける |
| 面が閉じていない | 造形データとして出力できない | データを修正する |
| 部品が重なっているだけ | 一体にならず分離する | 接続部を作る |
| 90×90×90mmを超える | 一度に造形できない | 分割して接合する位置を相談 |
肉厚とは、金属になる部分の厚みです。必要な厚みは地金や形で変わるため、ジュエリー3D CADの肉厚設計を参考に最も薄い部分を確認してください。
閉じた中空は、軽くしようとして内側をくり抜いたときに起きがちです。内側の空洞は外へ抜ける穴がなければ作れないため、裏面を開けるか、抜き穴を設ける形に変えます。
依頼の流れと確認の段階
有償の工程は、見積もりの承認後に始まります。途中で形を確認する段階が2回あるため、仕上がってから気づく手戻りを減らせます。
- 画像・素材・数量の3点を相談窓口へ送る(初回返信は原則3営業日以内)
- 見積もりを確認し、承認する
- 原型(3Dデータ)を画面で確認し、修正があれば伝える
- 試作を確認し、承認する(1個の特注では、この確認がそのまま本製作の確認になります)
- 製作と検品を経て納品
納期は仕様確定後およそ4週間が目安です。数量・石留め・メッキ・修正回数・連休で前後し、デザインの検討期間は含みません。
キャンセルは、見積承認前は無料です。原型や型に着手したあとは、その時点までの費用が発生します。
段階ごとの詳細は製作の流れにまとめています。
個人で依頼するときに知っておくこと
個人の私用の一点ものも、事業用と同じ流れで受け付けます。数量の上限も下限もなく、1個の特注から99個までのページで条件を確認できます。
- 初回は発注時に全額前払い(銀行振込、請求書を発行)
- 未成年の方は、正式契約時に保護者の同意が必要
- 原型データと型は当社で保管し、最終発注から6か月は追加製作に使える
- デザインは依頼者専用で、他の依頼者に転用しない
原型を保管しているあいだは、同じ形を追加で作る際に原型の費用がかかりません。1個で終わるつもりでも、あとから家族の分を作る相談は珍しくありません。
まとめ
- 3Dデータ・現物・手描きラフのどれかがあれば、鋳造を依頼できる
- 3Dデータの持ち込みなら原型データの制作費が不要になる
- 研磨・メッキ・石留めまで一括で頼めるため、工程間の食い違いが起きにくい
- 肉厚不足と閉じた中空は鋳造できない典型で、データの段階で直す
- 見積承認・原型確認・試作承認の3段階で、仕上がりを確かめながら進む
手元のデータやラフの画像に、希望の地金と数量を添えて無料相談から送っていただくと、鋳造できる形かどうかから確認できます。