鋳造の縮み代とは|K18とSV925でサイズが変わる理由と原型の補正
縮み代(ちぢみしろ)とは、溶けた金属が冷えて固まるときに縮む分を見込んで、原型を少し大きめに作っておく余裕のことです。ジュエリーの鋳造でも、完成品は原型よりわずかに小さくなります。
ただし、1点もののアクセサリーで縮み代を自分で計算して原型に足す必要は、ほとんどありません。寸法が大事な箇所を先に伝え、鋳造後の仕上げで合わせるほうが確実だからです。
この記事では、ワックス原型や3Dデータを作る個人の方と、同じ形を数量で作るブランドの方に向けて、縮みが起きる場所と補正の考え方を説明します。
縮みは1回ではなく、工程ごとに重なる
ロストワックス鋳造では、形を写すたびに少しずつ縮みます。どこで縮むかを知ると、補正が要る場面が見えてきます。
| 工程 | 縮むもの | 影響 |
|---|---|---|
| ゴム型からワックスを取る | ワックス | 同じ型から取るたびに起きる |
| 金属を流して固める | 地金 | 原型を直接鋳造しても起きる |
| 研磨・仕上げ | 表面が削れる | 角が丸くなり、厚みが減る |
原型を直接鋳造する1個の特注より、ゴム型を挟む数量の生産のほうが縮みは大きくなります。ゴム型の仕組みはアクセサリーの「型」の種類で説明しています。
完成品から型を取ると「一回り小さく」なる
知恵袋には、完成したリングから型を取って同じものを10個作りたい、という相談があります。このやり方では、完成品よりさらに小さいリングができます。
- 完成品は、すでに1回分縮んでいる
- そこからゴム型とワックスで、もう一度縮む
- 研磨でさらに表面が削れる
同じ大きさで増やしたいなら、完成品からではなく、最初の原型か3Dデータから型を作るのが基本です。データが残っていない場合の進め方は、廃番商品を再生産する方法にまとめています。
K18とSV925で差が出る理由
同じ原型でも、地金が違えば縮み方は少し変わります。金属ごとに、固まるときの性質が違うためです。
- 地金の種類と割金(混ぜる金属)の配合で、縮み方が変わる
- 同じ型から素材違いを作ると、寸法がぴったり一致しないことがある
- 差はわずかなので、見た目より「はめ合わせ」で問題になる
問題になるのは、K18とSV925の部品をロウ付けで組み合わせる、ふたと本体をはめる、といった寸法がかみ合う設計です。組み合わせる部品は、原型で合わせ込むより、鋳造後に現物どうしで合わせるほうが確実です。
補正が要る形・要らない形
縮み代を意識すべきかどうかは、形で決まります。
| 形・用途 | 補正の考え方 |
|---|---|
| ペンダントトップ・チャーム | ほぼ不要。全体がわずかに小さくなるだけ |
| リング(号数) | 号数は鋳造後のサイズ調整で合わせる前提で進める |
| 石枠 | 石の実寸を伝える。枠は石に合わせて仕上げる |
| ふた・はめ込み・2素材の組み合わせ | 現物合わせの工程を見込む |
| 同じ形を数量で作る | ゴム型を使う前提で、量産用の原型を用意する |
リングの号数は、鋳造後に内側を整えて合わせるのが一般的です。号数の基本はリングサイズ(号数)の基礎知識を参照してください。
依頼時に伝える項目の記入例
縮み代の数値を書く必要はありません。代わりに「どこの寸法を守りたいか」を伝えます。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 原型 | 自作のワックス/3Dデータ(単位mm) |
| 守りたい寸法 | リングの号数11号、石枠の内径 |
| 多少変わってよい寸法 | 外側の幅、全体の高さ |
| 組み合わせ | SV925の本体にK18のパーツをロウ付けしたい |
| 数量 | まず1個、良ければ同じ形を追加したい |
後から数量を増やす可能性があるなら、最初の相談で伝えてください。1個だけのつもりで進めると、型を作る前提の原型になっていないことがあります。
気をつけること(ここにまとめます)
- 縮みの割合は、地金・形・型の材料・工程で変わり、決まった1つの数値はない
- 知恵袋などにある割合の数値は、その人の条件での経験値として読む
- 寸法の許容範囲(どこまでずれてよいか)は、原型の確認の前に決めておく
GEMILYAに頼む場合
GEMILYAでは、鋳造を国内の提携工場に委託し、原型づくりや研磨・仕上げは自社の工房と国内の協力先で行います。
- 3Dデータ・現物・手描きのラフから相談できる
- 号数や石の寸法など、守りたい寸法を伝えていただければ、補正の要否を確認してご案内する
- 自作ワックスをそのまま使えるかは、写真と寸法を見てから受付可否をお伝えする
- 鋳造できる大きさは90×90×90mmまで
入稿できる形式と流れは、ロストワックス鋳造の依頼にまとめています。
まとめ
- 縮み代は、金属が固まるときに縮む分を見込んだ余裕のこと
- 縮みはゴム型・鋳造・研磨と工程ごとに重なる
- 完成品から型を取ると、一回り小さくなる
- K18とSV925を組み合わせる部品は、鋳造後に現物で合わせる
- 依頼では数値ではなく「守りたい寸法」を伝える
原型の写真と守りたい寸法を添えて、無料相談からお送りください。補正が要るかどうかから一緒に確認します。