銀粘土で作った作品を鋳造で増やす|原型として使うときの注意
銀粘土で作った作品を数量で作りたいとき、焼き上がった作品をそのまま鋳造の原型として送ることはできません。ロストワックス鋳造は、ワックスや樹脂の原型を熱で燃やして型の中に空洞を作る方法で、すでに金属になった作品は燃えないからです。
道は3つあります。作品を3Dスキャンしてデータにする、作品からゴム型を取る、作品を見本に形を作り直す、のどれかです。当社でいちばん進めやすいのは、作品を3Dスキャンしてデータにし、整えてから鋳造する方法です。
この記事は、銀粘土で作った作品を販売用に増やしたい作家の方に向けたものです。
銀粘土の作品は、鋳造でどう扱われるか
知恵袋には、銀粘土で作ったパーツをシルバー925にできないか、メッキで強くできないか、という相談がありました。回答は「メッキをしても純銀のもろさは解決しない。ロストワックス鋳造やゴム型を使う」というものでした。
一般的な銀粘土は、焼くと純銀に近い銀になります(品位は製品によって違います)。シルバー925より柔らかく、細い部分は曲がりやすい素材です。鋳造でシルバー925にすると、同じ形でも性質が変わります。
| 項目 | 銀粘土の作品 | 鋳造したSV925 |
|---|---|---|
| 銀の割合 | 純銀に近い(製品による) | 92.5% |
| 硬さ | 柔らかく、細部は曲がりやすい | 割金が入り、硬くなる |
| 同じ形を作る | 1つずつ手で作る | 同じ原型から何個も |
| 素材の表示 | 作品の銀粘土の品位どおり | SV925 |
銀粘土とシルバー925の違いそのものは、シルバーアクセサリーの作り方の種類でも説明しています。
量産に回す3つの道
どの道を選ぶかは、同じ大きさのままでよいか、手を入れたいかで決まります。
| 進め方 | 向いている場合 | 注意 |
|---|---|---|
| 3Dスキャンでデータにする | サイズを変えたい、形を整えたい | 鏡面や細い透かしは読み取りにくい |
| 作品からゴム型を取る | 同じ大きさで数を作りたい | 縮みと表面の傷がそのまま写る |
| 作品を見本に3D CADで作り直す | 細部を直したい、強くしたい | 手作りの揺らぎは整う |
データにしておくと、号数違いや素材違いの展開がしやすくなります。スキャンの得意・不得意はジュエリーの3Dスキャンにまとめています。
作品から直接ゴム型を取る依頼を当社で受けるかは、作品の形と状態を見て確認します。
原型にする前に確かめること
銀粘土の作品を元にするときに起きやすい問題は3つです。
- 縮み:銀粘土は焼くと縮み、鋳造でもさらにわずかに縮む
- 表面:指の跡・やすり目・小さな穴は、そのまま写る
- 細さ:銀粘土で作れた細さでも、鋳造では金属が流れ込みにくいことがある
指輪のように寸法が大事な物は、特に縮みに注意します。型を取ると一回り小さくなるため、データにして寸法を合わせ直すほうが確実です。縮みの考え方は鋳造の縮み代とはで説明しています。
表面は、スキャンや型取りの前にできるだけ磨いておくと、仕上げの手間が減ります。
記入例:相談のときに送るもの
説明用の記入例です。写真と寸法があれば、送る前に進め方を確認できます。
- 作品:銀粘土で作ったペンダントトップ(自分のデザイン)
- 大きさ:縦・横・厚みをmmで
- 写真:表・裏・横から、定規を添えて
- 作りたいもの:同じ形をSV925で20個
- 変えたい点:裏を少し厚くして強くしたい
- 素材と仕上げ:SV925、いぶし
よくある失敗
| 失敗 | 防ぎ方 |
|---|---|
| 焼いた作品を「このまま鋳造して」と送った | 先に写真で相談し、スキャンか型取りかを決める |
| 型を取ったら指輪の号数が小さくなった | データにして寸法を合わせ直す |
| 表面の小さな穴が全部の製品に写った | 型取りやスキャンの前に磨く |
| 銀粘土の細い線が、鋳造で欠けた | データの段階で線を太くする |
気をつけること(ここにまとめます)
作品を送る前に、写真と寸法で相談してください。どの進め方なら受けられるかを、形と状態を見てお伝えします。3Dスキャンでデータにするのは、依頼者に権利のある作品に限ります。
- 作品は輸送で曲がらないよう、固定して梱包する
- スキャンや型取りで作品に負担がかかるかも、事前に確認する
GEMILYAに頼む場合
- 作品の写真と寸法、作りたい数と素材を送る
- 3Dスキャン・作り直しなど、進め方を相談して決める
- 原型(3Dデータ)で形と寸法を確かめる
- 仕様確定後、およそ4週間で製作・納品
1個の特注でも、オリジナルの形には設計・原型の費用がかかります。数を作るなら、原型の費用を数量で分けられます。
まとめ
- 焼いた銀粘土の作品は燃えないため、そのままでは鋳造の原型にならない
- 3Dスキャン・ゴム型・作り直しの3つの道から選ぶ
- 縮みと表面の傷は写るので、データで寸法を整え、事前に磨く
- 鋳造でSV925にすると、銀粘土より硬く、同じ形を何個も作れる
作品の写真と寸法がそろったらご相談ください。どの進め方が合うかから一緒に決めます。