金属アクセサリーに色を入れる方法|樹脂(エポキシ)・エナメル風・七宝の違い
金属アクセサリーのロゴや模様に色を入れるなら、金属で凹みを作り、そこに色付きの樹脂(エポキシ)を流して固めるのが基本です。市販のピンバッジやチャームで「エナメル風」と呼ばれる仕上げの多くは、この樹脂の色入れです。
本物の七宝は、ガラス質の釉薬(ゆうやく)を金属に高温で焼き付ける工芸です。見た目は似ていても、作り方・費用・傷への強さが樹脂とは別物になります。
樹脂の色入れは、色の面を金属の壁で囲める形なら成り立ちます。細い線だけに色を入れたい、ぼかしのように色を変えたい、陶器そのものの質感がほしいといった希望は、金属+色入れでは表しにくいため、先に向き不向きを見ておきます。
向いているケース・向かないケース
色を入れる前に、金属で作る意味があるかを確かめます。
| 作りたいもの | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| ロゴの一部を塗り分けた社章・ピンバッジ | 向く | 凹みを金属の壁で囲みやすい |
| キャラクターや紋章の色面があるチャーム | 向く | 面ごとに壁を立てれば多色にできる |
| 透明な樹脂の奥に金属の模様を見せる | 向く | 底の金属の色がそのまま効く |
| 細い線だけに色を入れる | 条件つき | 線の幅に樹脂が入らず、色が途切れる |
| ぼかし・グラデーションの色 | 向かない | 樹脂は面ごとに1色。境目が要る |
| 陶器や磁器そのものの質感 | 向かない | 陶器は鋳造できない。白い樹脂か七宝で「風」にする |
| 全体が色で、金属がほとんど見えない | 向かない | 金属の意味が薄い。樹脂やアクリルで作るほうが軽く安い |
金属に色を入れる価値があるのは、色の面と金属の光る面を同じ製品の中で見せたいときです。色だけが目的なら、金属で作らないほうが向きます。
色を入れる方法の比較
「色を付ける」方法は、樹脂だけではありません。表したい色と使い方で選びます。
| 方法 | 色の出し方 | 向く表現 |
|---|---|---|
| 樹脂(エポキシ)の色入れ | 凹みに色付きの樹脂を流して固める | 赤・青・白など、はっきりした色面 |
| 七宝(焼き付け) | ガラス質の釉薬を高温で焼き付ける | 深みのある色、長く残る工芸品 |
| 部分メッキ | 金属の色(金色・白・黒)を一部にかける | 金×白のような金属色の組み合わせ |
| いぶし | シルバーの凹みを黒く残す | 黒と銀の陰影 |
| 塗装 | 表面に塗料を塗る | 短期間の展示品や一時的な見本 |
金属色だけで足りるなら、部分メッキでバイカラーのアクセサリーを作るのほうが樹脂より擦れに強い場合があります。黒だけでよいシルバーなら、いぶし加工のロゴ入りシルバーが候補です。
樹脂と七宝の違いは、次の3点に出ます。
- 樹脂は常温で固まる。七宝は焼き付けるため、本体の金属と形に制約が出る
- 樹脂は傷が付きやすく、紫外線で黄ばむことがある。七宝はガラス質で表面が硬い
- 樹脂は色数を増やしやすい。七宝は色ごとの焼成と研磨で手間が増える
「エナメル」という言葉は、本来は七宝(ガラス質)を指しますが、塗料や樹脂の仕上げにも使われます。発注時は「樹脂の色入れ」「焼き付けの七宝」と作り方で指定すると、行き違いを防げます。
凹みの設計:色の面は金属の壁で囲む
樹脂の色入れは、凹みに液体を流すため、色の境目は金属の壁になります。原型(製品の形のもとになる模型)の段階で、壁の位置と深さを決めます。
| 決めること | 考え方 |
|---|---|
| 凹みの深さ | 浅いと樹脂が薄く、はがれやすい。深さは仕様を見て案内 |
| 壁の幅 | 細いと鋳造で欠ける。色と色の間にも壁が要る |
| 色面の最小の大きさ | 小さすぎる面には樹脂が入らない |
| 底の面 | 透明や半透明の樹脂は底の金属の色が透ける |
ロゴの線が細い場合は、線に色を入れるのではなく、線の周りを凹ませて色を入れ、線を金属で浮かせると成り立ちます。ロゴを立体にする整理はロゴを金属アクセサリーにする方法にまとめています。
社章やピンバッジで色を入れる進め方は、社章・ピンバッジを鋳造で作るが参考になります。
色数と色の合わせ方
樹脂は面ごとに1色です。色数が増えるほど、壁の数と流し込みの手間が増えます。
- 色の指定は、色見本番号か、印刷物・現物の写真で伝える
- 画面の色と樹脂の色は同じにならない。色見本で確かめる
- 金色・銀色のメッキの上に置く色は、メッキの色で印象が変わる
- 不透明の色か、底が透ける色かを決める
ブランドカラーをぴったり合わせたい場合は、色の許容範囲を色見本で決めておきます。樹脂の色は配合と厚みで見え方が変わるため、「この見本の色に近づける」という決め方が現実的です。
黒・ガンメタの金属色と色の樹脂を組み合わせるなら、ガンメタ・黒のアクセサリーを作るで金属側の色の出し方を確認できます。
傷・紫外線・熱での変化
樹脂は金属より柔らかく、使ううちに変化します。販売する場合は、変化を前提に案内します。
| 変化 | 起きやすい場面 | 設計で減らす方法 |
|---|---|---|
| 表面の傷 | リングの外側、バッグに付けたチャーム | 樹脂の面を金属の縁より低くする |
| 黄ばみ | 日光に当たる場所で長く使う | 白や淡い色は変化が目立つと伝える |
| はがれ・欠け | 浅い凹み、角にぶつける | 凹みを深くし、面の角を減らす |
| 熱での変形 | 車内に放置、ドライヤー | 高温を避けるよう案内する |
リングのように常に物に当たる場所は、樹脂の色入れに向きません。ペンダント・ピンバッジ・チャームのように、擦れにくい場所に色を置くほうが長持ちします。
はがれた樹脂の入れ直しは、周囲の金属の状態によって対応が変わります。修理の考え方はジュエリー修理・アフターケアの基礎知識で説明しています。
「陶器のような白」をどう表すか
白い陶器のような質感のアクセサリーを金属で作りたい、という相談があります。陶器そのものは鋳造できないため、金属の本体に白を入れて「陶器風」にします。
- 白い不透明の樹脂を広い面に流す
- 白い七宝を焼き付ける(焼き付けに耐える金属と形が要る)
- 金属はロジウムメッキやマット仕上げで、白に近い色味に寄せる
陶器の「やわらかい白さ」は、樹脂の白とは少し違って見えます。白い樹脂は使ううちに黄ばみが目立ちやすいため、長く使う商品では色の変化を案内に入れます。
GEMILYAに頼む場合
樹脂の色入れも、仕様によってはお受けできます。色の数や塗り分ける面が増えるほど手作業が増え、そのぶん費用がかかります。七宝の焼き付けも同じで、形と色を伺って費用とあわせてご案内します。
- 本体はSV925・K18・K10・Pt900・真鍮・ステンレスの6種で鋳造する
- 色入れは本体の製作費とは別の項目として見積もる
- 1個の特注でも、オリジナルの形には設計・原型の費用がかかる
- 数量を作るなら、色と壁の位置を製作に入る前に決めてから進める
グッズやノベルティで色入れを使う場合は、グッズ・ノベルティ製作に法人向けの進め方をまとめています。他社のロゴやキャラクターを使う場合は、権利者の許諾を先に確かめてください。
まとめ
- 金属に色を入れる基本は、凹みを作って色付きの樹脂を流す方法
- 本物の七宝は焼き付けの工芸で、硬さ・費用・制約が樹脂とは別
- 色の境目は金属の壁になる。細い線やグラデーションには向かない
- 樹脂は傷・黄ばみ・熱で変化する。擦れにくい場所に色を置く
- 陶器そのものは鋳造できず、白い樹脂や七宝で「風」に寄せる
色を入れたい部分を塗り分けた画像と、使う場面を添えてご相談ください。樹脂で成り立つ形か、別の方法が向くかを一緒に検討します。
この記事の内容で、製作を考えている方へ
参考画像と、作りたい個数をLINEでお送りください。まず1個から作りたい・販売を検討中・贈り物の1個など、今の段階のままご相談いただけます。