本文へ移動
GEMILYA
素材・製法更新 約6分で読めます

岩肌・木目・枝のような質感のリングをオーダーする|テクスチャの作り方と原型の選び方

岩肌や木目、枝のような質感のリングは、オーダーで作れます。質感は「原型(製品の形のもとになる模型)の段階で彫る」か「鋳造したあとに叩く・いぶす」のどちらかで付けます。

不規則なゆらぎを魅力にする形は、手彫りのワックス原型が向きます。槌目を全周に均一に並べたい、同じ質感で号数違いをそろえたいなら、3D CADで作る原型が向きます。

ただし、金属のテクスチャは見た目より重さと強度に効きます。細い枝の形や、質感を全周に入れた細いリングは、作る前に向き不向きを確かめておきます。

向いているケース・向かないケース

質感を金属で作るのが合うかどうかを、先に見分けます。

作りたいもの 向き 理由
岩肌・溶けたような不規則な面 向く 手彫りで一つずつ整えられる
槌目を全周に並べたリング 向く 原型でも鋳造後の加工でも作れる
木目を浅い溝で表した幅広リング 向く いぶしで溝が暗く締まり、木目が読める
本物の枝のように細く絡む形 条件つき 細い部分が曲がる・折れる。太さの調整が要る
木や石そのものの軽さ・温かみ 向かない 金属は重く冷たい。木製や天然石の指輪を検討する
質感を全周に入れて、将来サイズ直しもしたい 向かない 継ぐ場所の質感がつながらない

天然石そのものを指輪にする方法は、天然石のくりぬきリングとはで金属枠との違いを比べています。金属で作る価値があるのは、質感と一緒に金属の重みや光り方がほしいときです。

質感はどの工程で付けるか

同じ「岩肌」でも、作る工程が3つあります。どれを選ぶかで、仕上がりの揺らぎ方と、数量を作ったときのそろい方が変わります。

工程 作り方 向くもの
手彫りのワックス原型 ワックス(ろう)を彫刻刀やヤスリで削り、表情を付ける 岩肌・枝・一つずつ違う揺らぎ
3D CADの原型 画面上で凹凸を設計し、光造形で出力する 均一な槌目・号数違い・左右対称
鋳造後の加工 金属になってから叩く・筋を入れる・いぶす 槌目・ヘアライン・陰影の強調

原型で付けた質感は、鋳造で金属にそのまま写ります。同じ原型からゴム型を取れば、2個目以降も同じ質感で作れます。

鋳造後に叩いて付ける槌目は、1個ずつの手作業です。数量を作ると打ち方にわずかな個体差が出るため、そろえたいなら原型に槌目を入れ、1個ずつの味を出したいなら鋳造後に叩くと考えます。鋳造後の加工で対応できる範囲は、形を見てご案内します。

原型の選び方はジュエリー原型は手作りか3D CADかで、形の条件ごとに判断表にしています。

岩肌・木目・枝それぞれの設計の注意

モチーフによって、気をつける場所が違います。

質感 設計で決めること 起きやすい失敗
岩肌 凹凸の深さと、内側を滑らかにする範囲 凹凸が深く重くなる。内側がざらつき痛い
槌目 打ち目の大きさと、面の向き 甲丸(断面が丸い形)では打ち目が付きにくい
木目 溝の幅と深さ、年輪の向き 浅い溝は研磨で消える。深い溝に汚れがたまる
枝 枝の太さと、枝どうしのつなぎ方 細い枝が曲がる。隙間に服の糸が引っかかる

槌目は、平打ち(断面が平らな帯状)のリングで映えます。甲丸の丸い面に打つと、打ち目がつぶれて模様が読みにくくなります。

枝のリングは、枝を細くするほど本物らしくなりますが、そのぶん曲がりやすくなります。枝を2本以上絡ませて互いに支える形にすると、細く見せながら強さを残せます。細さの考え方はジュエリー3D CADの肉厚設計が参考になります。

リングの内側は、どのモチーフでも滑らかに仕上げます。外側の質感を内側まで回すと、指に当たって痛くなります。

質感の伝え方:言葉より「参考の実物と写真」

「岩っぽく」「自然な感じで」という言葉だけでは、凹凸の深さも粗さも決まりません。次の3点をそろえると、原型の1回目で狙いに近づきます。

  • 参考になる写真を2〜3枚。気に入っている部分を丸で囲む
  • 手元にある実物(石・流木・既製のリングなど)があれば、その写真を添える
  • 凹凸の「深さ」「粗さ」「方向」を、強い・弱いで伝える

凹みを暗く見せたいなら、いぶし(シルバーの表面を黒くして凸部を磨く仕上げ)が使えます。いぶしはシルバー925で使える仕上げで、凹みに黒が残るほど岩肌や木目が立体に見えます。仕上げの違いはジュエリーの表面仕上げ比較で比べられます。

真鍮・K18・Pt900では、いぶしと同じ色調になるとは限りません。これらの素材では、マット仕上げと鏡面の組み合わせで陰影を出す方法を検討します。

同じ凹凸の表現をリングではなくペンダントの表と裏に入れたいなら、両面に模様のあるペンダント・エンブレムをオーダーするで厚みの決め方と裏面データの向きを確かめられます。

重さと費用はテクスチャで増える

質感のあるリングは、同じ号数・同じ幅の無地のリングより重くなりやすいです。凹凸を付けるには、凹んだ部分でも強度を保てる厚みが要るためです。

  • 凹凸の深さのぶん、全体の厚みを足す必要がある
  • 幅広のリングに木目を入れると、面積と厚みの両方で重さが増える
  • 重さが増えれば、地金代(重さ × その日の地金相場)も増える

K18やPt900では、重さがそのまま地金代に効きます。質感を残したまま軽くするなら、内側を少しくぼませる裏抜きを検討します。裏抜きの考え方はリングの裏抜きとはにまとめています。

重さの見込みは、3Dデータの段階で体積から出せます。手彫りの原型でも、鋳造の前にワックスの重さから金属の重さを見積もれます。

フリーサイズ(開口型)にするときの注意

岩肌や枝のリングは、号数を決めずに開口型で作りたいという相談もあります。開口型は成り立ちますが、質感のあるリングには注意が2つあります。

  • 開口部の近くは曲げる場所になるため、深い凹凸を入れない
  • 枝のような細い形は、曲げたときに枝のつなぎ目から折れやすい

開口型にするなら、曲げる場所の断面を厚めにし、質感は正面側に集めます。開口型そのものの条件はフリーサイズ(開口)のリングをオーダーするで説明しています。

全周に質感を入れた閉じたリングは、サイズ直しで継ぎ目が目立ちます。将来の直しを考えるなら、サイズ直しできない指輪のデザインとはのとおり手のひら側を無地で残します。

1個の特注から数量を作るまで

オリジナルの形は、1個でも設計・原型の費用がかかります。質感のあるリングでは、数量を作るときの「そろい方」を先に決めます。

作る数 進め方 質感のそろい方
1個の特注(一点もの) 原型で質感を確かめて鋳造する その1個だけの表情
2〜99個の小ロット 同じ原型からゴム型で複製し、まとめて作る 原型の質感がそろう
鋳造後に叩く仕上げ 1個ずつ手作業で打つ 打ち目に個体差が出る

小ロットで「1個ずつ違う表情」を売りにするなら、個体差をどこまで許すかを製作に入る前に決めておきます。基準がないと、検品で判断が揺れます。

本体に使える地金はSV925・K18・K10・Pt900・真鍮・ステンレスの6種です。いぶしで質感を見せるならSV925が向き、シルバーで作れる条件はシルバー製作のページにまとめています。納期は仕様確定後およそ4週間が目安で、原型の修正回数で前後します。

まとめ

  • 岩肌・木目・枝の質感は、原型で彫るか、鋳造後に叩く・いぶすかで付ける
  • 不規則な揺らぎは手彫りのワックス原型、均一な槌目や号数違いは3D CADが向く
  • 槌目は平打ちの面に映え、枝は2本以上を絡ませて強さを残す
  • 質感のぶん厚みと重さが増え、K18やPt900では地金代にも効く
  • 開口型にするなら、曲げる場所に深い凹凸や細い枝を置かない

参考の写真と、着ける指・好みの幅を添えてご相談ください。質感を原型で作るか鋳造後に付けるかを、形を見てご案内します。

この記事の内容で、製作を考えている方へ

参考画像と、作りたい個数をLINEでお送りください。まず1個から作りたい・販売を検討中・贈り物の1個など、今の段階のままご相談いただけます。

作りたいものが決まっていなくても大丈夫です

「こんなものは作れる?」の一言だけでも構いません。LINEまたはメールフォームから、気軽にご相談ください。

LINEで相談フォームで相談