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実務ノウハウ更新 約6分で読めます

両面に模様のあるペンダント・エンブレムをオーダーする|表と裏の設計と厚み

表にロゴ、裏に文字や紋章を入れた両面のペンダントやエンブレムは、ロストワックス鋳造なら1つの原型(製品の形のもとになる模型)で両面を一度に作れます。表と裏を別々に作って貼り合わせる必要はありません。

ただし、両面に凹凸を入れると、中心に残す厚みのぶん無地の片面より厚く重くなります。裏の内容が「名前や日付など1個ずつ違う文字」なら、裏は平らにして刻印で入れるほうが軽く、費用も抑えやすくなります。

両面立体にするか、片面立体+裏面刻印にするかは、裏面に何を入れたいかで決めます。順に整理します。

向いているケース・向かないケース

両面を立体にする価値があるかを、裏面の内容から見分けます。

裏面に入れたいもの 向く作り方 理由
紋章・家紋・ロゴの別の形 両面立体 凹凸があるほうが模様として読める
表と対になる柄(コインの表裏のような構成) 両面立体 裏返っても商品として見せられる
全員共通の社名や年号 両面立体か原型への彫り込み 原型に入れれば追加の費用がかからない
1個ずつ違う名前・日付・番号 片面立体+裏面刻印 原型は1つで、文字だけ1個ずつ変えられる
裏は何も入れず軽くしたい 片面立体 裏を平らにすると厚みと重さを抑えられる
裏に写真のような細かい絵 向かない 鋳造では細部がつぶれる。刻印か別の表現にする

両面立体が向くのは、裏の模様が「全員共通で、凹凸として読ませたい」ときです。文字を1個ずつ変える用途は、刻印のほうが向きます。

両面の作り方は3通り

同じ「両面にデザインがある」ペンダントでも、作り方で厚み・重さ・費用が変わります。

作り方 仕組み 向くもの
両面を1つの原型に作る 表裏の凹凸を1つの立体として設計し、一度に鋳造する エンブレム・紋章・両面の柄
片面立体+裏面にレーザー刻印 裏は平面で鋳造し、完成後に文字を刻む 名前・日付・番号を1個ずつ入れる
2枚を貼り合わせる 表と裏を別に鋳造し、ろう付けでつなぐ 表裏で素材や色を変えたいとき(ご相談)

貼り合わせは、継ぎ目が側面に出る、重さが2枚分になる、接合部が弱点になるといった注意があります。表裏の模様が同じ素材でよいなら、1つの原型に両面を作るほうが単純で丈夫です。

刻印の方法ごとの違いは、アクセサリー刻印の種類にまとめています。刻印は1か所3,000円程度が目安で、原型に彫り込んだ文字には追加の費用がかかりません。

厚みと重さはどう決まるか

両面に凹凸を入れると、表の凸の高さ、裏の凸の高さ、そしてその間に残す芯の厚みの3つを足したものが全体の厚みになります。

  • 芯の厚みは、鋳造で湯(溶けた金属)が回り、曲がらない厚みを残す
  • 表と裏の凹みが同じ位置に重なると、芯が薄くなり穴が開きやすい
  • 凸を高くするほど陰影は出るが、厚みと重さが増える

重さは面積と厚みの掛け算で決まり、地金代は重さにその日の地金相場を掛けて決まります。同じ直径なら、両面立体は片面立体より重くなる前提で、直径か凸の高さで調整します。

K18やPt900で作る場合は、重さの差がそのまま地金代の差になります。裏を平らにして刻印にする選択が、費用の面でも効きます。

調整 効く点 注意
直径を小さくする 重さ・地金代 細かい文字が入らなくなる
凸を低くする 重さ 陰影が弱くなる。いぶしやマットで補う
裏を平らにして刻印 厚み・重さ・原型の手間 裏の表現は文字と線に限られる
裏抜きで軽くする 重さ 両面立体では抜ける場所がほとんどない

片面のペンダントトップで厚みと重さを決める考え方は、K18ペンダントトップをオーダーメイドで作るで詳しく説明しています。

裏面のデータは「裏から見た向き」で用意する

両面のデザインで起きやすい行き違いが、裏面の向きです。ペンダントを裏返すと、左右が入れ替わります。

  • 表のデータと裏のデータは、別々の画像で用意する
  • 裏の画像は「裏から見たときに正しく読める向き」で作る
  • 裏返すときの軸(左右に返すか、上下に返すか)を決めて伝える
  • 文字の上下は、バチカン(チェーンを通す輪)を上にした状態で合わせる

左右に返すのか上下に返すのかで、裏面の文字の天地が変わります。ペンダントは左右に返して見ることが多いため、裏の文字はバチカンを上にした向きで読めるようにします。

画像しかない場合は、表裏それぞれの画像から3Dデータを起こします。データを作る費用と、データから原型を出力する費用は別のもので、違いは3Dデータの出力だけ頼む場合と、データ制作から頼む場合の違いで説明しています。データ作成を頼む範囲の決め方はアクセサリーの3Dデータ作成を依頼するにまとめています。

エンブレムの細部と、裏返りへの備え

エンブレムや紋章は、細い線と小さな文字が集まりやすい形です。鋳造では細部がにじむため、線の太さを先に見ます。

部分 鋳造で起きやすいこと 対策
細い輪郭線 線が途切れる・埋まる 線を太くするか、面の段差で表す
小さな文字 読めなくなる 文字を大きくするか、刻印に切り替える
縁の飾り(ミルグレイン等) 均一に出にくい 出せる細かさを製作前に相談する
両面の凸の端 擦れて先に光る いぶしやマットの範囲を決めておく

両面に模様があるペンダントは、裏返っても商品として成り立つのが強みです。それでも「表を正面に見せたい」場合は、重心とバチカンの位置で向きを安定させます。考え方はペンダントトップが裏返る原因と設計での対策にまとめています。

バチカンの内寸は、合わせるチェーンの留め具の大きさで決めます。両面立体は厚みがあるため、バチカンの位置を厚みの中心に置かないと、吊るしたときに傾きます。

大会や式典のメダルとして両面に模様を入れる場合は、リボンを通す環の作り方も含めてオリジナルメダルの製作で扱っています。

1個の特注から数量まで

オリジナルの形は、1個でも設計・原型の費用がかかります。両面の原型は片面より設計の手間が増えるため、原型設計の費用は形の細かさで変わります。

表裏を一体で鋳造する仕様なら、裏面に柄があることだけで鋳造の回数が増えるわけではありません。費用は、次のような点で変わります。

  • 両面の柄のデータ制作
  • 裏面のいぶし・磨きなどの仕上げ
  • 裏面の凹凸を含めた、完成時の重さ
数量 進め方
1個の特注(一点もの) 3Dデータで表裏の形と厚み・重さを確認し、鋳造・仕上げして納品
2〜99個の小ロット 表裏の形と仕上がりを製作前に相談して決め、同じ原型からゴム型でまとめて作る
100個以上 原型は共通。裏の文字を1個ずつ変えるなら刻印の段取りを決める

本体の地金はSV925・K18・K10・Pt900・真鍮・ステンレスの6種です。チェーンは既製品を組み合わせる形で、トップだけの納品もできます。納期は仕様確定後およそ4週間が目安で、両面の修正回数で前後します。

費用の決まり方と初回だけかかる費用の考え方は、料金の考え方にまとめています。

まとめ

  • 両面の模様は、鋳造なら1つの原型で表裏を一度に作れる
  • 裏が全員共通の模様なら両面立体、1個ずつ違う文字なら片面立体+刻印
  • 厚みは「表の凸+芯+裏の凸」で決まり、両面立体は片面より重くなる
  • 裏面のデータは裏から見た向きで用意し、左右に返すか上下に返すかを決める
  • バチカンは厚みの中心に置き、裏返っても見せられる裏面にしておく

表と裏それぞれの画像と、希望の直径・素材を添えてご相談ください。両面立体と裏面刻印のどちらが合うかを、形を見てご案内します。

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