ニッケルフリーとは|表記の意味・読み方と「それでもかぶれる」理由
ニッケルフリーとは、本来「ニッケルを使っていない」という意味の表記です。ニッケルは金属アレルギーの原因として知られる金属のひとつで、それを避けた素材だと伝えるために使われます。
ただし実際には、「ニッケルが溶け出す量を基準以下に抑えた」という意味で使われることもあり、不使用の表示と、溶出試験への適合は別のものです。溶出の基準に適合していても、ニッケルを含んでいないとは限りません。
表記が指す範囲も、地金だけか、メッキの下地やポストまで含むかで商品ごとに違います。
向いている人・当てにならない場面
表記を頼りにしてよい場面と、別の確認が要る場面を分けます。
| 状況 | ニッケルフリー表記の使い方 |
|---|---|
| ニッケルに反応すると皮膚科で分かっている | 目安になる。意味(不使用か基準適合か)と範囲を確かめる |
| 何に反応するか分からない | 表記だけでは判断できない。先に皮膚科で原因を調べる |
| 銅・パラジウム・コバルトなどで荒れた経験がある | ニッケルフリーでも荒れることがある |
| 作家として自分の商品に表記したい | 製作先に割金と下地を確認してから書く |
原因の金属が分からないうちは、表記で選ぶより皮膚科での確認が先です。素材名だけで選ぶと、別の金属で同じことが起きます。
表記が指す範囲は部品ごとに違う
アクセサリーは1つの金属でできていません。「ニッケルフリー」が何を指すか、部品ごとに見ます。
| 部品 | ニッケルが入りうる場所 |
|---|---|
| 地金(本体) | 割金(主成分に混ぜる金属) |
| メッキの下地 | 色のメッキの下に打つ層 |
| ピアスのポスト・キャッチ | 既製部品の素材 |
| チェーン・丸カン | 既製部品の素材 |
とくに見落とされるのが、メッキの下地です。表面の色が金やロジウムでも、その下にニッケルの層がある場合があり、擦れて減ると下地が肌に触れます。メッキの層の構造はジュエリーのメッキ種類にまとめています。
「SV925(ニッケルフリー)」のような表記は、銀92.5%の地金の割金にニッケルを使っていない、という意味で使われることが多い表記です。その上にかけたメッキやポストまで同じとは限りません。部品ごとの確かめ方は金属アレルギーに配慮したアクセサリー素材の選び方で扱っています。
「不使用」「含有」「溶出」は別のもの
ニッケルフリーに、国内で共通の数値の定義はありません。欧州には、肌に長く触れる製品から溶け出すニッケルの量を制限する規制があり、これに適合したことを根拠に表記する販売者もいます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 不使用(ニッケルを含まない) | 割金・下地・部品にニッケルを使っていない |
| 含有 | ニッケルが入っている。量は表記だけでは分からない |
| 溶出基準に適合 | 溶け出す量が基準以下。含んでいないとは限らない |
溶出の基準に適合した製品を「ニッケルを含まない」と言い換えることはできません。「ノンニッケル」「ニッケルオフ」など似た言葉も、どの意味で使っているかは販売者ごとに違います。
気になる場合は、販売者に「どの部品について、不使用なのか、溶出の基準に適合したのか」を聞くのが確実です。答えが返ってこない表記は、目安として弱いと考えます。
作家が表記する前に:裏付けになる資料
自分の商品に「ニッケルフリー」と書くなら、確認できた範囲だけを、確認した意味(不使用か、溶出基準への適合か)のとおりに書きます。裏付けになる資料は次のとおりです。
| 部品・表記 | 裏付けになる資料 |
|---|---|
| 地金(本体) | 製作先からの割金の成分の回答 |
| メッキ | メッキ先からの下地と表面の層の回答 |
| ポスト・キャッチ・チェーン | 部品メーカーの素材表示・成分表 |
| 溶出基準への適合をうたう場合 | 試験を行った機関の成績書 |
一部だけ確認して商品全体に表記すると、問い合わせや返品の原因になります。表示の書き方はアクセサリーの素材表示に義務はある?に整理しています。
「アレルギーが出ない」「安心」と書かないことも大切です。体質で結果が変わるため、言い切れません。
GEMILYAに頼む場合
本体を作れる地金はSV925・K18・K10・Pt900・真鍮・ステンレスの6種です。割金の内容は地金ごとに違うため、ニッケルの有無を含めて、ご相談時に確認してご案内します。
- メッキの下地は仕様によって変わります。下地を指定したい場合は、先にお知らせください
- ポスト・キャッチ・チェーンは既製部品を組み合わせます。素材表示のある部品を選ぶことはできますが、肌の反応を保証するものではありません
- 「ニッケルフリー」と表記するかどうかは、確認できた範囲をお伝えしたうえで、販売者であるお客さまが判断します
ブランドの商品として素材と表示を決めていく進め方は、ブランド立ち上げ・OEM/ODMにまとめています。
気をつけること(ここにまとめます)
- 金属アレルギーの原因や対処は体質で変わります。症状が出たら着用をやめ、皮膚科に相談してください
- 本文の表記の意味は一般的な使われ方で、販売者ごとに定義が違うことがあります
- 法令や基準の細かい条件は、表記する前に専門家や所管の案内で確認してください
まとめ
- ニッケルフリーは本来「ニッケルを使っていない」の意味。溶出基準への適合とは別
- 指す範囲は地金・メッキの下地・金具で違い、見ただけでは分からない
- ニッケル以外の金属にかぶれる人もいる。原因は皮膚科で確かめる
- 作家が表記するなら、製作先に割金と下地を確認し、確認できた範囲と意味のとおりに書く
- 「アレルギーが出ない」とは書かない
ニッケルを避けた仕様で作りたい方は、避けたい金属・対象の部品と、表示に使いたい言葉(不使用か、基準適合か)を添えてご相談ください。地金とメッキの下地を確認してご案内します。
この記事の内容で、製作を考えている方へ
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