名画・美術作品モチーフのアクセサリーと著作権|保護期間の確かめ方
名画をモチーフにしたアクセサリーを作れるかは、まず作者がいつ亡くなったかで決まります。日本の著作権法では、著作権は原則として作者の死後70年まで続きます。それを過ぎた作品は、原則として許諾なしで使えます。
ただし、確認は著作権だけでは終わりません。海外の作家には保護期間が延びる「戦時加算」があり、美術館が公開している画像には利用規約があり、作品名や画家名が商標として登録されていることもあります。
この記事では、絵画や美術作品をモチーフにしたアクセサリーを作りたい個人の方とブランドの方に向けて、確かめる順番と、絵を金属で表す方法を説明します。
保護期間の決まり
公的な資料で確かめた決まりは、次の3つです(2026-10-06確認)。
- 著作権は、作者の死後70年を経過するまで続く(著作権法第51条、e-Gov法令検索)
- 期間は、亡くなった年の翌年から数える(同第57条)
- 死後50年から70年への延長は2018年12月30日に施行。延長の前にすでに切れていた作品は、さかのぼって延長されない(文化庁「著作物等の保護期間の延長に関するQ&A」)
延長の前に切れていたかどうかが、古い作品を使えるかの分かれ目になります。
判断表:作者の没年で見る
| 作者が亡くなった年 | 日本での保護期間の考え方 |
|---|---|
| 1967年以前 | 延長の前に切れているため、原則として終わっている(海外の作家は下の戦時加算も確認) |
| 1968年以降 | 死後70年。亡くなった翌年から数えて70年の年末まで続く |
| 作者が分からない・共同制作 | 計算の起点が変わるため、個別に確認する |
| 海外の作家(連合国の国民など) | 戦時加算で、上より長くなる場合がある |
戦時加算は、サンフランシスコ平和条約に基づき、連合国とその国民が戦前・戦中に取得した著作権の保護期間に、戦争中の期間を加えるものです(文化庁の説明による)。19〜20世紀の海外作家の作品では、この加算を必ず確かめてください。
著作権以外に確かめること
保護期間が終わっていても、次の点は別に確認が要ります。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 元にする画像の出どころ | 美術館や画像サイトの画像には、利用規約がある |
| 作品名・画家名の商標 | 商品名に使う場合、商標が登録されていることがある |
| 作品の改変の仕方 | 作者の死後も、名誉を傷つける改変は問題になり得る |
| 所蔵館の名前やロゴ | 所蔵館の名前やロゴは、作品とは別の権利になる |
著作権法第60条は、作者が亡くなった後も、作者が生きていれば人格権の侵害になる行為をしてはならないと定めています。名画を下品に崩す、作者が支持したかのように見せるといった使い方は避けます。
商標の調べ方はアクセサリーの商標登録の基礎で説明しています。
絵を金属で表す方法
絵画は色と筆の跡で描かれています。金属では色をそのまま出せないため、何を残すかを選びます。
| 表し方 | 向く作品 |
|---|---|
| 輪郭を浮き彫りにする | 形がはっきりした作品(波・花・人物の輪郭) |
| 透かし(切り抜き)にする | シルエットで分かる作品 |
| 線を刻む | 線の美しさが魅力の作品(版画・素描) |
| 色を部分メッキや石で置き換える | 色が主役の作品 |
名画を小さく縮めて全部写そうとすると、細部がつぶれて何の絵か分からなくなります。作品のいちばん有名な部分を1つ選び、そこだけを形にするほうが伝わります。色の置き換え方は部分メッキでバイカラーにするで説明しています。
記入例:依頼のときに添える情報
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 元の作品 | 作品名、作者名、制作年 |
| 作者の没年 | 調べた年と、調べた資料 |
| 使う画像 | 所蔵館の公開画像。利用規約で商品化が認められている |
| 残す部分 | 波の部分だけを浮き彫りに |
| 商品名 | 作品名は使わず、独自の名前にする |
よくある失敗
| 失敗 | 防ぎ方 |
|---|---|
| 有名な画家だから切れていると思い込んだ | 没年を調べ、1968年以降なら保護期間内として扱う |
| 海外作家で戦時加算を見落とした | 国籍と制作時期から加算の有無を確かめる |
| ネットの画像をそのまま元にした | 画像の出どころと利用規約を確認する |
| 作品名をそのまま商品名にした | 商標の登録を確かめるか、独自の名前にする |
気をつけること(ここにまとめます)
- この記事は考え方の整理。保護期間の計算・戦時加算の有無・商標の判断が個別に必要なら、弁理士・弁護士などの専門家に確認する
- 日本以外で販売する場合は、その国の保護期間も別に確かめる
GEMILYAに頼む場合
GEMILYAでは、保護期間の確認と画像・商標の権利の確認は、依頼される方の側で行っていただきます。保護期間内の作品は、権利者の許諾がなければお受けできません。
- 確認した没年と資料、使う画像の出どころを添えてご相談ください
- 自分で描き直したオリジナルの絵柄にする方法もあります(自分のイラストをアクセサリーにする)
- 本体の地金は真鍮・SV925・K10・K18・Pt900・ステンレスの6種類
- オリジナルの形は、1個でも設計・原型の費用がかかります
まとめ
- 名画が使えるかは、まず作者の没年で決まる。日本では原則として死後70年
- 1967年以前に亡くなった作者の作品は、原則として保護期間が終わっている
- 海外の作家は戦時加算で長くなる場合がある
- 画像の利用規約、作品名の商標、作品の扱い方も別に確かめる
- 金属では、作品のいちばん有名な部分を1つ選んで形にする
作品と、残したい部分のイメージを添えてご相談ください。金属でどう表すかを一緒に考えます。