アクセサリーの原価率と原価計算|材料・加工・初期費用の分け方
アクセサリーの原価は、材料・加工・初期費用の按分・パッケージと送料の4つに分けて計算します。見積書の単価をそのまま原価と呼ぶと、初期費用や箱代が抜けやすいためです。
原価率は「原価÷上代×100」で求めます。上代とは、お客さまに販売する小売価格のことです。
金額は素材や数量で大きく変わるため、この記事では数字ではなく計算の型を扱います。自社の見積もりを型に当てはめれば、そのまま原価表になります。
アクセサリーの原価は4つに分ける
最初に、原価を性質の違う4つの箱に分けます。箱を分けると、数量を変えたときにどこが動くかが見えるようになります。
| 区分 | 中身 | 数量で1個あたりが変わるか |
|---|---|---|
| 材料 | 地金、石、既製のチェーンや金具 | ほぼ変わらない |
| 加工 | 鋳造、仕上げ、石留め、メッキ | 変わりにくい |
| 初期費用の按分 | 設計、原型、型 | 数量で割るので下がる |
| パッケージ・送料 | 箱、台紙、梱包材、発送 | ほぼ変わらない |
数量を増やして1個あたりの原価が下がる理由は、主に初期費用を割る数が増えるからです。材料と加工は1個ごとに必要なので、数を増やしても消えません。
同じ費用を2つの箱に入れないことも大切です。原型費を初期費用に入れたら、加工の単価には含めません。
材料費の考え方
材料費は、地金と石で計算のしかたが違います。地金は重さ、石は粒数が基準です。
- 地金: 完成品の重さ×地金の相場。相場は日々動くので、見積もりの日付を控える
- 石: 粒数×1粒の単価。天然石はサイズや品質で単価が変わる
- 既製パーツ: チェーン、丸カン、ピアスポストなど、仕入れて組み合わせる部品
地金の相場は変動するため、材料費は「いつの相場か」とセットで記録します。時間がたってから追加生産する場合、同じ仕様でも材料費だけ変わることがあります。
見積書の範囲と自社側の費用を分ける考え方は、販売価格の決め方の記事でも解説しています。
加工費の考え方
加工費は、工程の数で決まります。鋳造して磨くだけの品と、石を留めてメッキをかける品では、同じ形でも加工費が違います。
- 鋳造: 型に地金を流し込む工程。数量をまとめても1個ごとの作業は残る
- 仕上げ: 研磨、いぶし、マットなど。手作業が中心
- 石留め: 爪、彫り、フクリンなど。粒数が増えるほど工賃が増える
- メッキ: 色と厚みで変わる。1個あたりの費用は数量で変わりにくい
原価を抑えたいときは、工程の数を減らせないかを先に見直すのが定石です。石を減らす、メッキをやめて地金の色を活かす、といった判断が加工費に直接効きます。
初期費用は「売れる見込みの数」で割る
設計と原型の費用は、最初の発注で一度発生します。1個の特注(一点もの)でも、オリジナルの形なら設計・原型の費用がかかります。
算式は「初期費用÷見込販売数=1個あたりの按分」です。ここで割る数を、作る数ではなく売れる見込みの数にするのが安全な考え方です。
| 割る数 | 1個あたりの按分 | 起きやすいこと |
|---|---|---|
| 作る数で割る | 小さく見える | 売れ残ると回収できない |
| 見込販売数で割る | 大きめに見える | 実態に近く、赤字を避けやすい |
原型は追加生産にも使えるため、初回だけで全額を回収するか、複数回に分けるかで見え方が変わります。この考え方は初期費用の回収の記事で詳しく扱っています。
原価率の計算と読み方
原価率は「原価÷上代×100」です。逆に、目標の原価率から上代を出すなら「原価÷目標原価率」で計算できます。
たとえば原価率を30%に置くなら、上代は原価を0.3で割った額です。原価率を40%に置けば0.4で割るので、同じ原価でも上代は低くなります。
- 原価率が低い: 販売費や利益に回せる余地が大きいが、上代が高くなる
- 原価率が高い: 上代を抑えられるが、決済手数料や広告費を引くと残りが薄い
- 原価に何を含めるかで率は変わる。4つの箱のどこまで入れたかを明記する
「一般的な原価率の目安」を先に当てはめないことが大切です。決済手数料、送料、広告費は事業ごとに違うので、自社の費用を書き出してから率を決めます。
税込・税抜も統一します。上代が税込で原価が税抜だと、率が実態とずれます。
上代から逆算して仕様を決める順番
原価を積み上げてから上代を決めると、売りにくい価格になりがちです。先に上代を置き、そこから原価の上限を出す順番をおすすめします。
- 売りたい上代を決める(競合や顧客の感覚から)
- 上代から決済手数料・送料・販売サイトの費用・利益を引く
- 残った額が原価の上限。4つの箱に振り分ける
- 上限に収まらなければ、重量・素材・数量・工程の数の4つで調整する
- 調整した仕様で見積もりを取り直し、原価率を再計算する
4つの調整のうち、素材を変えるのは印象への影響が大きいので最後にします。厚みを見直す、石の数を絞る、といった順が現実的です。
グッズの上代から逆算する考え方はグッズの原価と上代の記事、費用の構造は料金の考え方にまとめています。
シルバーアクセサリーで原価が動きやすいところ
SV925のアクセサリーは、地金より加工の割合が大きくなりやすい素材です。原価を見直すときは、次の点を確かめます。
- 重さ: 裏抜きや厚みの調整で地金の量が変わる
- 仕上げ: 鏡面といぶしでは工程が違う
- メッキ: ロジウムなどをかけるかどうかで加工費が加わる
- 石: CZ・ガラス・天然石のどれを使うか、粒数はいくつか
シルバーは原価に占める地金の割合が小さくなりやすい分、加工の設計で原価が決まります。工程を整理すると原価が動く素材だと覚えておくと、仕様の相談がしやすくなります。
まとめ
- 原価は材料・加工・初期費用の按分・パッケージと送料の4つに分けて計算する
- 数量で下がるのは初期費用の按分。材料と加工は1個ごとに残る
- 初期費用は作る数ではなく、売れる見込みの数で割る
- 原価率は原価の範囲と税込・税抜をそろえてから計算し、目安を先に当てはめない
- 上代を先に置き、原価の上限を出してから重量・素材・数量・工程の数で調整する
希望の上代と予定数量をお知らせいただければ、原価の上限に収まる仕様を一緒に考えます。お問い合わせからご相談ください。