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素材・製法更新 約5分で読めます

槌目(つちめ)とは|指輪・バングルの槌目と、鋳造で再現する場合の見え方

槌目(つちめ)とは、金づちで金属の表面を叩いてつけた、小さな凹凸の模様のことです。「鎚目」とも書きます。凹凸で光がいろいろな方向に散るため、使ううちの傷が模様に紛れます。

作り方は、金属になったあとに手で1個ずつ打つ方法と、原型(製品の形のもとになる模型)に模様を作って鋳造で写す方法の2つです。当社は原型で作る方法が基本で、鋳造で再現した槌目は、手打ちの見本と同じ見え方にはなりません。

向いているケース・向かないケース

槌目を金属で、しかも新しく作るのが合うかを先に見分けます。

状況 判断
1本だけ、1点ものの表情が欲しい 作家の手打ちの品や既製品で足りることが多い
同じ模様で2本以上、号数違い、ペア 原型に槌目を作り、鋳造でそろえる
ブランドの商品として数をそろえたい 原型で作る。個体差の基準を製作前に相談して決める
細い指輪や、断面が丸い(甲丸)指輪に槌目 幅・曲率・打ち目の大きさで見えにくいことがある。形を見て判断する
手持ちの指輪に、あとから槌目を入れたい 修理店や工房へ。当社ではお受けしていない
鏡面の傷が気になる 槌目のほか、マット仕上げも候補

槌目は平打ち(断面が平らな帯状)の指輪や、幅のあるバングルで模様がよく見えます。幅が細い、または面の丸みが強い場合は、打ち目を小さくするなど見え方を確かめて決めます。

槌目の見え方と性質

槌目は「凹凸の形」で、鏡面・マットは「表面の仕上げ」です。輝き方は、この2つの組み合わせで変わります。

組み合わせ 見え方
槌目+鏡面 打ち目ごとに光がきらめく
槌目+マット 落ち着いた、やわらかい表情
槌目+いぶし(SV925) 凹みが黒く残り、模様が強く出る
  • 小さな傷やへこみが、凹凸に紛れて目立ちにくい
  • 凹んだ部分に皮脂や汚れがたまりやすく、布で拭く手入れが要る
  • 打ち目が大きいほど素朴に、小さく細かいほど上品に見える

傷が目立ちにくい仕上げを探している方は、傷が目立ちにくい指輪で素材と仕上げの組み合わせを比べられます。仕上げ全体の種類はジュエリーの表面仕上げ比較にまとめています。

手で打つ槌目と、原型で作る槌目の違い

同じ「槌目」でも、作り方で性質が変わります。

項目 手で1個ずつ打つ 原型に作って鋳造で写す
作り方 金属になったあと、金づちで叩く データや原型に凹凸を作り、型に流す
個体差 1個ずつ違う 模様の配置はそろう。鋳造・研磨の個体差は残る
数をそろえる 打ち方に差が出る ゴム型で複製できる
打ち目の縁 叩いた角が立つ 鋳造と研磨で少し丸くなる
号数違い 1本ずつ打つ 原型の模様を号数ごとに調整する

手打ちの槌目は、板や線から叩いて形を作る「鍛造」寄りの作り方と相性がよく、柔らかいシルバー950などが使われることがあります。鋳造との違いは鍛造と鋳造の違いで説明しています。

原型で作る槌目は、3D CADで凹凸を設計するか、ワックス原型に手で打ち目を付けてから鋳造します。どちらの原型でも、模様の配置は全部の品で共通にしやすくなります。ただし、鋳造や研磨による細かな差は1個ずつ残ります。

鋳造で再現すると、見本と同じにはならない

参考写真が作家の手打ちの槌目の場合、鋳造で再現した槌目は次の点で見え方が変わります。

  • 打ち目の縁が、鋳造と研磨の工程でわずかに丸くなる
  • 模様の配置が共通になるため、手打ちの1点ものの揺らぎとは違う
  • 深い打ち目を入れるには、凹んだ部分でも強度を保つ厚みが要り、重さが増える
  • 写真の光の当て方で模様の見え方が大きく変わるため、写真どおりにはならない

そのため、原型の段階で打ち目の大きさと深さを確かめ、仕上がりの見え方を製作に入る前に相談して決める進め方にします。まず1個作って見てから、同じ原型で数を追加することもできます。

他の作り手の品の模様を写せるのは、お客さまが権利をお持ちか、権利者の許諾を確認できる場合に限ります。鋳造したあとに手で叩いて打ち目を足す加工は、形を見て対応できる範囲と費用をご案内します。

槌目の伝え方(記入例)

「槌目で」とだけ伝えると、打ち目の大きさも範囲も決まりません。次の5点を書くと、原型の1回目で狙いに近づきます。

項目 記入例(説明用)
打ち目の大きさ 中くらい。1つの打ち目が2〜3mm
打ち目の密度 隙間なく重ねる
範囲 外側の全周。内側と側面は滑らか
下地の形 平打ち、幅4mm、厚み1.5mm
仕上げ 鏡面。いぶしなし

参考写真は、気に入っている打ち目の部分を丸で囲んで添えます。写真だけより、大きさと範囲を言葉で添えた方がずれが減ります。

当社で作る場合

本体を作れる地金は、SV925・K18・K10・Pt900・真鍮・ステンレスの6種です。いぶしで凹みを黒く見せる仕上げはSV925で使えます。シルバーで作れる形はシルバー925の製作にまとめています。

槌目のような凹凸は形の細かさに入るため、原型設計の費用は無地の形より上側になりやすくなります。1個だけでもこの費用はかかり、ほかに1個ごとの製作費がかかります。内訳は料金の考え方をご覧ください。

  • 原型とデータは最終のご発注から6か月お預かりし、期間内に同じデザインを作り足すなら、初回だけの費用はかかりません
  • ゴム型は消耗品のため、劣化していれば作り直しの費用がかかることがあります
  • 手持ちの指輪やバングルへの加工は、お受けしていません

まとめ

  • 槌目は金づちで叩いた凹凸の模様。傷が目立ちにくく、輝き方は鏡面・マットなどの仕上げとの組み合わせで変わる
  • 平打ちの指輪や幅のあるバングルで見えやすい。細い・丸い面では打ち目の大きさで見え方を確かめる
  • 手打ちは1個ずつ違う表情。原型で作れば模様の配置はそろうが、鋳造・研磨の個体差は残る
  • 鋳造の槌目は縁が少し丸くなり、見本の写真どおりにはならない。見え方は製作前に相談し、まず1個作ってから同じ原型で追加することもできる
  • 打ち目の大きさ・密度・範囲・下地の形・仕上げの5点で伝える

参考写真と、着ける指や幅の希望を添えてご相談ください。打ち目の大きさを原型で確かめてから進めます。

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