芸能事務所のグッズ発注チェックリスト|権利・監修・数量・納期
芸能事務所がグッズを発注する前にそろえる情報は、次の6つです。
- 権利:許諾の範囲と、それを確かめた資料
- 監修:確認の回数と最終決裁者
- 数量:初回の数と、追加を判断する日
- 日程:納品希望日と、承認にかかる期間
- 予算:上代と、初期費用を含めた配分
- 納品・取引条件:納品先、個包装、支払い時期
どれか一つでも後ろ倒しになると、製造ではなく承認の待ち時間で日程が消えます。
以下、実務で決まる順番に確認していきます。金属アクセサリーを想定していますが、考え方は他のグッズでも使えます。
権利:最初に確認する
着手してからの手戻りが最も大きいのが権利です。企画の一番はじめに片づけます。
| 確認すること | 誰に確認するか |
|---|---|
| ロゴ・シンボルの利用範囲 | 権利を保有する事務所・レーベルの契約管理担当 |
| 写真やイラストの二次利用 | 契約資料で確認した権利者・契約管理担当 |
| 既存デザインの流用可否 | そのデザインの権利者 |
撮影者や制作者が、権利者とは限りません。契約資料で権利の所在を確かめてから、許諾を取る相手を決めます。
許諾は「使ってよい」だけでなく、どこまで使ってよいかまで確認します。製造、改変、再委託、販売、販促での掲載まで含むかどうかで、進め方が変わります。
確認した内容は、次の項目で記録に残しておくと、後から社内で説明しやすくなります。
- 許諾対象(どのロゴ・写真・イラストか)
- 利用範囲(製造・改変・販売・販促掲載など)
- 確認資料(契約書、許諾書、メールなど)
- 確認日と、確認した担当者
当社が複製・改変をお受けするのは、ご依頼者が権利を持つもの、または権利者の許諾があるものに限ります。権利の判断に迷う場合は、着手前に弁理士・弁護士へご相談ください。
監修:何回、誰が見るか
監修が入る案件では、確認の回数と担当者を先に決めておきます。
- デザイン案の確認(1回目)
- 原型・データの確認(2回目)
- 試作品の確認(3回目)
回数が読めないと、日程も読めません。最終的にOKを出す人を1人に決めておくと、差し戻しが減ります。
各段階で何が決まるかは品質と進め方にまとめています。
数量:読める数から始める
グッズで最もこわいのは売れ残りです。かといって絞りすぎると単価が上がります。
初回と追加に分けて考えると、この板挟みを和らげられます。
- 初回は確実に掃ける数を作る
- 追加発注を判断する日と、追加分の必要納品日を先に決める
- 反応を見て、同じ型で追加する
- 間に合わない分は、会場受注や通販の予約で拾う
少量の追加は、1個あたりの単価が高くなります。ゴム型は消耗品なので、状態によっては作り直しの費用がかかることもあります。
最低ロットは設けていないため、初回を小さく始められます。1個からなら小ロット製作、まとまった数なら量産をご覧ください。
在庫の考え方はグッズの在庫リスクを抑える作り方で詳しく扱っています。
日程:承認の時間を別枠で見る
制作の目安は、仕様が確定してからおよそ4週間です。仕様確定後の変更・修正、数量、石留めやメッキの有無、連休によって前後します。
この4週間に、次の期間は含みません。
- 仕様確定前のデザイン検討
- 権利者・社内の承認
- 販売ページや告知物の準備
監修の差し戻しが仕様確定前なら、承認の期間が延びます。確定後の修正なら、制作の期間が延びます。
実務では、この承認待ちが最も読みにくい時間です。開催日が決まっている場合は、逆算して「いつまでに何を決めるか」を先にお渡しします。
日程の組み方はイベントから逆算するグッズ製作スケジュールで詳しく扱っています。
予算:上代から逆算する
先に価格を告知することが多いので、上代が制約条件になります。
- 上代を決める
- 販売経路の手数料と、確保したい利益を引く
- 個包装・台紙や配送など、販売に必要な費用を引く
- 原型・型などの初期費用を、数量で割って引く
- 残りが1個あたりにかけられる製作費になる
- その範囲に収まる素材・重量・仕上げを選ぶ
収まらない場合は、重量・素材・数量・工程の数を見比べて調整します。どれを優先するかは商品ごとに決めます。
たとえば刻印の見え方を守りたいなら、工程は残して重量で調整する、といった判断です。考え方は料金についてにまとめました。
納品:会場か、事務所か
見落とされやすいのが納品条件です。発注前に決めておきます。
- 納品先は1か所か、会場と事務所に分けるか
- 個包装や台紙が必要か
- 検品で特に重視する点は何か(刻印の見え方、色味、寸法など)
物販では個包装が必要になることが多く、あとから足すと日程にも費用にも響きます。
社内で先に共有しておくこと
発注そのものより、社内の合意形成に時間がかかることがあります。先に共有しておくと止まりません。
| 共有すること | 誰と |
|---|---|
| 上代と目標の粗利 | 物販・経理の担当 |
| 監修の回数と最終決裁者 | マネジメント |
| 数量と、売れ残った場合の扱い | 物販の担当 |
| 権利の確認状況 | 法務または管理部門 |
| 支払い時期と、分割の要否 | 経理の担当 |
| キャンセル費用が発生する段階 | 物販・マネジメント |
初回のお取引は、発注時に全額を前払いいただきます。金額が大きい場合は、着手金と納品前の残金の2回に分けられます。
原型・型に着手したあとのキャンセルは、その時点までの費用がかかり、量産開始後はキャンセルできません。稟議の前に確認しておきたい条件は品質と進め方にまとめています。
見積もりを社内に出すとき
そのまま稟議に添付できる形でお出しします。
- 初期費用(原型・型)と1個あたりの単価を分けて記載
- 数量を変えた場合の単価の比較
- 納品希望日に対して間に合うかどうか
代替案が必要な場合は、どこを変えれば予算に収まるかもあわせてお返しします。
まとめ
- 権利は企画の最初に確認し、許諾の範囲と確認資料を記録する
- 監修の回数と最終決裁者を決め、承認期間は仕様確定後およそ4週間の制作とは別枠で見る
- 初回は読める数に絞り、追加の判断日と、追加分の単価・型の状態を見込む
- 上代から、初期費用と販売に必要な費用を含めて逆算する
- 納品先・個包装・支払い時期・キャンセル条件を、発注前に社内で共有する
決めておく項目は発注仕様シートにまとめています。未定の欄があっても、開催日と作りたいもののイメージがあればお問い合わせからご相談いただけます。