ペンダントトップのバチカンのサイズ|チェーンが通らない失敗を防ぐ
ペンダントトップにチェーンが通らないとき、原因はたいていチェーンの端にある留め具です。チェーン本体が細くても、引き輪やプレートがバチカンの穴より大きいと通りません。
バチカンとは、トップの上部についている、チェーンを通す輪のことです。内寸は、チェーンを通す側の端部品とチェーン本体を測って決めます。そこに通す向きとゆとりを足します。
すでに手元にあるトップとチェーンが通らない場合は、次の順に試します。
- チェーンの反対側の端から通せるか確かめる(両端の部品の大きさが違うことが多い)
- 端の留め具が小さいチェーンに替える
- バチカンや端部品を替えられるか、修理を扱う店に相談する
ただし、完成後にバチカンを付け替えると、デザインの印象が変わってしまいます。オリジナルのトップを作るなら、原型の段階で寸法を合わせておくのが確実です。
バチカンで起きる失敗と、先に決めること
バチカンの失敗は「通らない」だけではありません。よくある失敗を原因と対策に分けて整理します。
| 失敗 | 主な原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 留め具が通らない | 本体の太さだけで内寸を決めた | 通す側の端部品を実測する |
| トップが横を向く | 穴の向きがトップの面と合っていない | 穴の抜ける向きを指定する |
| 傾く・裏返る | バチカンが重心の真上にない | 試作を吊るして確認する |
| チェーンが滑らない | 太いチェーンに対して内寸がきつい | 本体の太さも測る |
| バチカンが目立つ | ゆとりを取りすぎた | 使うチェーンを先に決める |
どの失敗も、使うチェーンが決まっていないまま設計すると起きます。トップのデザインより先にチェーンを決めるのが、いちばん効く予防策です。
チェーンの「通る部分」を測る手順
チェーンを通すときにネックになるのは、両端についた部品です。部品の名前が分からない場合はアクセサリーパーツの名称と役割を先に見ておくと、話が早くなります。
測る手順は次のとおりです。
- 販売や着用に使うチェーンの実物を用意する(同じ品番・同じ太さ)
- 両端の部品を見比べ、どちら側から通すかを決める
- 通す側の端部品とチェーン本体の幅・厚み・長さを、ノギス(細かい寸法を測れる計測具)で測る
- バチカンに通すときの向きと、バチカンの奥行きを確認する
- 測った値にゆとりを足して、バチカンの内寸(幅と高さ)にする
通常は、片側から通せれば足ります。購入者がどちらの端からでも通せるようにしたい場合だけ、両端のうち大きいほうの部品に合わせます。
見落としやすい部品を表にまとめます。
| 部品 | 測る場所 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 引き輪・カニカン | 最大の幅と厚み | 同じ太さのチェーンでも大きさが違う |
| プレート(板状の端パーツ) | 幅と厚み・長さ | 端の部品で最大になりやすい |
| アジャスター先端の飾り | 直径 | 玉やしずく形が引っかかる |
| チェーン本体 | 太さと幅 | 平たいチェーンは幅もある |
留め具の形ごとの違いはネックレスの留め具の種類と選び方で比較できます。
ゆとりの量は、バチカンの形で変わります。細い輪なら部品を斜めに傾けて通しやすいですが、長い筒状のバチカンは傾けて通せる範囲が限られるため、余裕を多めに見ます。
幅と厚みの数値だけでは、通るかどうか判断しきれないこともあります。部品の長さや形、端部品をつなぐ丸カンの動きも影響するため、最後は現物で通して確かめます。
また、鋳造では原型から仕上がりまでに寸法がわずかに変わることがあります。測った値ぴったりの設計は避けてください。
固定バチカンと可動バチカンの違い
バチカンには、トップと一体になった固定バチカンと、丸カンなどでつないだ可動バチカンがあります。可動バチカンでは、トップがバチカンの下で揺れます。
| 観点 | 固定バチカン | 可動バチカン |
|---|---|---|
| 向き | 穴の向きの影響が大きい | 揺れて向きが変わりうる |
| 見た目 | トップとの一体感が出る | 揺れの動きが出る |
| 内寸の確認 | バチカン本体とチェーンの適合 | バチカンはチェーンとの適合、連結部はトップとの接続・干渉・動く範囲・肉厚 |
| 弱点 | 向きの設計ミスが直しにくい | 連結部のすり減り・開き |
| 向くデザイン | 文字物・板状など正面を見せたいもの | 丸いモチーフ・揺れを見せたいもの |
可動バチカンでは、つなぎ目の丸カンが弱点になります。重さのあるトップは、丸カンの閉じ目をロウ付け(金属で接合すること)する方法も検討します。
チェーンを通さずに付け外しできる開閉式のバチカンもあります。ただし可動部が増えるため、強度と構造をデザインと合わせて検討する必要があります。
トップの向き・傾きを決める
固定バチカンでは、穴がどちらに抜けるかでトップの向きに傾向が出ます。
- 穴が左右に抜ける:チェーンが横に通り、トップは正面を向きやすい
- 穴が前後に抜ける:チェーンに引っぱられ、トップが横を向きやすい
実際の向きは、穴の形や大きさ、チェーンの太さとの余裕、丸カンの形でも変わります。図面で判断しきれないため、使う組み合わせで吊るして確認します。
板状のトップに直接穴を開けると、穴は前後に抜けます。そのままでは横を向きやすいため、丸カンを1つ挟んで向きを直すのが一般的です。
傾きは、バチカンと重心の位置関係で決まります。
- 左右非対称のモチーフは、見た目の中心ではなく重心の上にバチカンを置く
- 石が片側に寄っていると、その側に傾きやすい
- 厚みのあるトップは、バチカンの前後の位置で上向き・下向きが変わる
見た目の中心と重心は一致しないことがあります。3D CADで目安を確認できる場合もありますが、最終判断は実物を吊るして行います。
既製チェーンと組み合わせるときの確認
喜平などの機械で編むチェーンは、鋳造では作れません。そのため、オリジナルのトップに既製のチェーンを組み合わせる形が一般的です。チェーン自体の選び方はネックレスチェーンの種類と選び方にまとめています。
既製チェーンと組み合わせるときは、次の点を確認します。
- 同じ品番でも、仕入れ時期によって留め具が変わることがある
- 追加生産のときは、新しく仕入れたチェーンで測り直す
- 長さ違い・太さ違いを展開するなら、通す側の留め具がいちばん大きいチェーンに合わせる
- そのチェーン専用にするか、購入後にトップを外して別のチェーンに付け替えられるようにするかを先に決める
- 購入後の付け替えが不要でチェーンを通した状態で出荷するなら、そのチェーン専用に寸法を詰めてよい
出荷時の状態と、購入後の着脱の仕様は別に考えます。通した状態で届けても、付け替えを想定するなら内寸は詰めすぎないようにします。
トップ単体で販売する場合は、購入者の手持ちチェーンが分かりません。トップ単体で売るなら、バチカンの内寸を数値で表示しておくと、「付けられなかった」という問い合わせを減らせます。
チェーンの長さや留め具まで含めたネックレス全体の仕様は、ネックレスの製作ページで確認できます。
試作で実際のチェーンを通す
図面上で通る寸法でも、実物では引っかかることがあります。試作ができたら、販売に使うのと同じチェーンを通して確かめます。
- 通す側の端部品が、力を入れずに通るか(両側から通す仕様なら両端とも)
- 通したあと、バチカンの内側に擦れ傷が出ないか
- 首に着けたとき、トップが正面を向くか
- 左右や前後に傾かないか
- 体を動かしたとき、裏返らないか
- トップがチェーン上を滑り、中央に戻るか
太さの近い別のチェーンで代用すると、この確認は意味がなくなります。確認は必ず本番と同じチェーンで行ってください。
バチカンの内寸や位置は、原型の段階なら修正を反映しやすい部分です。型を作ったあとで直すと手戻りが大きくなります。試作全体の見方はサンプル確認チェックリストが参考になります。
まとめ
- チェーンが通らない原因は、たいてい端の留め具やプレートにある
- 手持ち品は、まず反対側の端から通せるかを確かめる
- 内寸は、通す側の端部品とチェーン本体を実測し、向きとゆとりを足して決める
- 固定バチカンは穴の向き、可動バチカンは連結部の強度が要点になる
- 向きと傾きは組み合わせで変わるため、試作を本番のチェーンで吊るして確認する
チェーンの品番と通す側の留め具の実測値を発注仕様シートにまとめて無料相談から送っていただくと、バチカンの寸法から具体的に検討できます。