ジュエリーOEMの費用と相場の考え方|見積もりの内訳と4つの要素
ジュエリーOEMの費用は「原型・型」「素材」「加工」「仕上げ」の4つを足したもので決まります。
地金相場が日々動くため、GEMILYAでは一律の価格表を設けていません。仕様と数量をそろえて、その都度見積もります。
「相場は◯円」と一言で言えないのはこのためです。1個あたりの金額は数量でも変わり、小ロットほど高くなります。
だからこそ内訳の仕組みを知ることが、見積もりを正しく読み、予算内で発注する近道になります。
見積もりを初めて見ると、「型代」「加工費」など聞き慣れない項目が並んでいて戸惑うかもしれません。各費目の意味と、金額を調整する方法を順に見ていきましょう。
費用は大きく4つに分解できる
ジュエリーOEMの費用は、おおまかに次の4つの足し算で考えられます。
| 費目 | 内容 |
|---|---|
| 原型・型の製作費 | 製品形状の元になる原型と、複製用のゴム型を作る費用 |
| 素材代 | 金属の材料費(石を使う場合は石の代金) |
| 加工費 | 鋳造・組み立て・石留めなど、形にするための費用 |
| 仕上げ費 | 磨き・メッキ・刻印など、最後の仕上げの費用 |
家づくりにたとえるなら、原型・型が設計図、素材代が木材や鉄骨です。加工費が大工さんの工賃、仕上げ費が内装にあたります。
それぞれ性質が違うので、順番に見ていきましょう。
原型・型の製作費——初回に発生する主な費用
ジュエリーの多くは、まず製品形状の元になる原型を作ります。次に原型からゴム型を取り、ワックスを複製して鋳造します。
つまり原型とゴム型は別物です。見積書では両方が一括の場合も、別々の項目の場合もあるため、どちらの書き方か確認しましょう。
手作業の原型制作のほか、最近は3DCADでデータを作る方法もあります。データ入稿の詳細はジュエリーの3DCADデザイン入門をご覧ください。
原型・型の費用のポイントは次の3つです。
- 初回に発生する主な費用で、同じデザインの追加生産では通常かからない
- ただし、ゴム型の劣化、原型の保管終了、仕様変更などで再製作費が生じる場合がある
- 作る数が多いほど、1個あたりに割り振られる原型・型の費用は小さくなる。数量で1個あたりが下がる主な理由はこれです
原型の保管期間や再製作の扱いは、取引条件にまとめています。
なお、デザインが複雑(細かい模様、可動部、立体的な構造)になるほど、原型・型の費用は上がる傾向があります。
素材代——何で作るかで大きく変わる
素材代は、その名の通り金属や石の材料費です。金額は、素材の種類と使用量(重さ)の組み合わせで決まります。
- 貴金属: K18やプラチナ(Pt900)は素材そのものが高価で、相場(金やプラチナの市場価格)の変動も受けます。K10は金の割合がK18より低く、金素材の中では素材代を抑えやすい選択肢です
- シルバー: シルバー925は貴金属の中では比較的手に取りやすい素材です
- 真鍮: 真鍮は素材代を抑えやすく、ファッションアクセサリーでよく使われます。ステンレスも同じ位置づけの素材ですが、当社では本体の鋳造に対応していません(ピアスポストなどの既製部品としてのみ使用)
同じデザインでも、素材によって材料費は変わります。差の大きさは重さと相場で変わるため、素材違いの見積もりを並べて比べると判断しやすくなります。
素材を変えるときは、形状・必要な厚み・仕上げが成り立つかもあわせて確認します。同じ型で素材を変えて作り分けたい場合は、ご相談ください(仕様を確認してご案内します)。
石を使うデザインでは、石の持ち込みができます。石の調達・手配はご相談ください。
見積もりでは、石そのものの代金と石留め費を分けて確認しましょう。ピアスポストや留め金具などの既製部品も、含まれるか別途かを見ておくと安心です。
製品の重さ(金属の使用量)も素材代に直結します。「少し細く・薄くする」とコストが下がることもあります。
ただし薄くしすぎると、強度が落ちたり、鋳造や研磨がうまくいかなくなったりします。重量を減らすときは、制作側と成立するか確認してから決めましょう。
加工費と仕上げ費——手間の量が金額になる
加工費と仕上げ費の中身は、次のような工程です。
| 費目 | 具体例 |
|---|---|
| 加工費 | 鋳造(型に溶けた金属を流し込む)、パーツの組み立て、石留め(石を金属に固定する) |
| 仕上げ費 | 研磨(ピカピカに磨く)、メッキ(表面に別の金属の膜をかける)、いぶし加工、ブランドロゴの刻印 |
加工費は、形にするための人件費・工程費です。工程が多いデザインほど高くなります。
研磨・メッキ・検品は1個ずつ行う工程です。たとえばメッキ代は、数量が増えても1個あたり変わりません。
仕上げ費は一見小さな項目です。しかし、仕上げは見た目の印象や手ざわりに直結する部分なので、ここを削りすぎるのはおすすめしません。
仕上げを変える場合は、見え方や質感を試作などで確認してから決めましょう。
希望上代から逆算して仕様を組む
費用を予算に収めるには、先に販売価格(上代)を決めて逆算すると、判断の基準がはっきりします。次の順で進めると、見積もりの比較がしやすくなります。
- 希望上代(販売価格)を決め、税込・税抜のどちらで考えるかをそろえる
- 販売手数料、包装・配送などの販売経費、確保したい利益を差し引き、製作に使える原価の目安を出す
- 原型・型などの初期費用を、この原価に含めるか別枠の予算にするかを決める
- 重量・素材・数量・工程の数の4要素を調整し、原価に収まる仕様にする
- 同じ仕様で数量を変えた3案の見積もりを取り、1個あたりと総額を比べる
販売しない私用の1個なら、上代の代わりに希望の総予算から考えます。1個からの製作は小ロット製作のページをご覧ください。
4つの要素のうち、どれがよく効くかはデザインや数量によって変わります。1つの要素だけを削るより、組み合わせで調整するほうが、デザインの見せ場を残しやすくなります。
調整した仕様は、外観・装着感・接続部に影響がないかを試作などで確認します。希望予算に収まるかは、見積もりで判断しましょう。
予算には支払い時期も含めて考えましょう。初回取引は発注時に全額前払いが基本で、金額が大きい場合は着手金と納品前残金の2回に分けられます。
中止した場合の費用は、原型・型の着手前か後かなど、進み具合で変わります。詳しくは取引条件をご確認ください。
見積書の読み方——数量違いの3案を並べて確認する
数量違いの見積もりは、数量以外の仕様をそろえて並べます。金額を比べる前に、何が含まれているかをそろえるのが読み方の基本です。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 仕様 | 素材・仕上げ・メッキ・石留めが3案で同じか |
| 原型・ゴム型 | 一括か別記か。1個あたりの額に含めて割っているか |
| 設計・データ作成 | 原型代と重なって計上されていないか |
| 1個あたりと総額 | 初期費用を含む1個あたりか、含まない額か |
| 試作・修正 | 何回分を含むか、追加した場合の扱い |
| 石・既製部品 | 石の代金と石留め費が分かれているか。金具は含むか別途か |
| 送料・税 | 税込か税抜か、送料を含むか |
| 前提日・期限 | 地金相場で変わるため、いつの相場を前提にした見積もりか |
表の項目がそろったら、手順2で出した製作に使える原価と照合します。数量を増やして1個あたりが下がる分は、主に原型・型の費用を数量で割れる分だと考えておきましょう。
安く抑える5つの現実的なコツ
- 素材を柔軟に考える: 最初のコレクションは真鍮やシルバーで始め、売れてからK18版を追加する方法があります。同じ型での素材違いの展開はご相談ください
- デザインの工程数を見直す: 石の数を減らす、パーツを一体化するなど、工程が減れば加工費も下がります
- 型を使い回す設計にする: 同じ原型からメッキ違い・仕上げ違いのバリエーションを作れば、原型・型1回分で複数商品を展開できます
- 数量を計画的に決める: 少なすぎると1個あたりが割高に、多すぎると在庫リスクになります。ロットと単価の関係は小ロット製作の現実と選び方で詳しく解説しています
- 予算を先に伝える: 「この予算内でどこまでできるか」という相談の仕方をすると、制作側も現実的な提案がしやすくなります
2のコツを、石と飾りパーツの多いリングで考えた仮の仕様検討例です。実例ではなく、判断の順番を示すためのものです。
| 見直す点 | 考え方 | 確認すること |
|---|---|---|
| 見せ場のデザイン | 印象を決める部分は残す | 残す部分を最初に決める |
| 石の数 | 見せ場以外の石を減らせるか | 石の代金と石留め費の変化 |
| 接続パーツ | 一体化して減らせるか相談する | 動きや着け心地が変わらないか |
| 重量 | 細く・薄くして軽くする | 強度と鋳造・研磨が成り立つか |
どこまで調整するかは、試作などで外観を確かめ、見積もりで予算に収まるかを見て決めます。
そもそもの費用の考え方は料金の考え方のページにもまとめています。
まとめ
- ジュエリーOEMの費用は「原型・型+素材代+加工費+仕上げ費」で構成され、原型とゴム型は別物
- 数量で1個あたりが下がるのは主に原型・型の費用を割れるため。メッキなど1個ずつの工程は数量で変わらない
- 価格は重量・素材・数量・工程の数の4要素で動き、どれがよく効くかは仕様によって変わる
- 一律の価格表はないため、仕様をそろえた数量違いの見積もりを並べ、型・石・送料・税などの含み方を確認する
- 希望上代(私用なら総予算)から逆算し、予算を先に伝えて仕様を組むと進めやすい