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バッグ金具・ファスナー引き手をオリジナルで作る|寸法の伝え方

バッグ金具を鋳造(溶かした金属を型に流す製法)で作るなら、向くのは動かない一体の形の金具です。ファスナー引き手の飾り、ロゴプレート、チャーム状の飾りがこれにあたります。

反対に、バネやねじ、回転する部分を含む金具は鋳造だけでは完成しません。その部分は既製品を使うか、別の加工で考えるのが現実的です。

発注するときは、デザインより接続先の寸法が大事です。ベルト幅・厚み・スライダーの穴を正しく測れば、「付かない金具」を作る失敗は大きく減らせます。

鋳造で作りやすい金具・作りにくい金具

見るポイントは「動く部分があるか」と「どれだけ力がかかるか」の2つです。

金具 鋳造との相性 理由・考え方
既存の引き手に付ける飾り 作りやすい 一体の形で、かかる力も比較的小さい
交換用のファスナー引き手 条件付き 開閉のたびに引かれるため、接続部の強度確認が要る
ロゴプレート・チャーム状の飾り 作りやすい 装飾が主で、形の自由度が高い
ギボシの頭 条件付き 飾りの頭は鋳造し、ねじ部は既製品と組み合わせる
Dカン・角カン 条件付き 形は単純だが、荷重と内寸の設計が要る
アジャスター 条件付き ベルトが滑らない形と強度の確認が要る
ナスカン・回転カン 作りにくい バネや回転の機構がある
マグネットホック・差し込み錠 作りにくい 磁石や開閉の機構がある

「条件付き」は、形は鋳造できても、使う場所によって向き不向きが分かれるものです。

機構のある金具は、飾りだけを鋳造して既製品と組み合わせるのが基本です。動く部分をどう置き換えるかは製造が難しいデザイン例と代替案も参考になります。

接続先の寸法の測り方

金具の寸法は、金具そのものではなく「何に付けるか」で決まります。まず接続先を測りましょう。

道具はノギス(挟んで細かい単位まで測れる定規)が確実です。普通の定規では、厚みや穴の径を読み取りにくくなります。

ベルトを通す金具(Dカン・角カン・アジャスター)

  • ベルト幅:実際に通すベルトを測る。表示の幅と実寸がずれることがある
  • ベルトの厚み:折り返して縫う部分は、2枚重ねと縫い目を含めて測る
  • 金具の内寸:ベルト幅ぴったりにせず、少し余裕を持たせる
  • 余裕の量:革の厚みや硬さで変わるため、端材を通して確かめる

「内寸」と「外寸」を分けて書くことが大切です。外寸だけを伝えると、枠の太さの分だけ内側が狭くなります。

取り付け穴があるもの(ギボシ・プレート)

  • 穴の直径と、穴どうしの中心から中心までの距離
  • 取り付ける革や生地の厚み(ねじの長さに関わる)
  • 裏側に出る部分の高さ(中の荷物に当たらないか)

力がかかる部分の考え方

同じバッグ金具でも、かかる力は場所によって大きく違います。

場所 かかる力 設計の考え方
ショルダーの付け根 大きく、常にかかる 既製金具で受け、飾りは別に付ける手もある
持ち手の接続部 大きく、繰り返しかかる 断面を太めにし、細い装飾を入れない
交換用のファスナー引き手 開閉のたびに引っ張られる 穴まわり・付け根・つなぐ輪まで細くしない
引き手に付ける飾り・ロゴプレート 小さい 形の自由度を優先できる

鋳造品には、中に小さな空洞(鋳巣)が残ることがあります。細い部分に空洞が重なると、そこから折れやすくなります。

素材でも違いがあります。シルバー925は比較的やわらかく、細い枠に力がかかると曲がりやすい素材です。

本体の地金は、シルバー925・K18・K10・プラチナ900・真鍮から選びます。バッグ金具でよく見るステンレスやチタンで本体を鋳造することには対応していません。

荷重を受ける部分ほど、断面を太く、角を丸くします。角が鋭いと、通したベルトの革が擦れて傷むためです。

試作で確かめること

どれだけの重さに耐えられるかは、形と素材で変わります。試作品を実際のバッグに付け、確かめる項目と合格の目安を先に決めておきます。

確認項目 確かめ方 合格の目安(事前に決める)
荷物の重さ 想定する中身を実際に入れて使う 枠や付け根が曲がらない
引っ張る方向 肩掛け・手持ちなど実際の向きで引く 斜めに引いても枠が開かない
繰り返し使用 持ち上げや開閉を何度も繰り返す ゆがみやひびが出ない
取り付け部 使った後にねじ・輪・縫い目を見る 緩み・ずれ・革の傷みがない

試作での確認は、あくまでそのバッグと使い方での目安です。重い荷物を毎日入れる用途なら、荷重用の既製金具と比べて検討します。

既製金具も、表示されている用途や仕様がそのバッグに合うかを確認してから使います。弱くなりやすい箇所は壊れにくいアクセサリーの設計ポイントでも整理しています。

ファスナー引き手で確認すること

引き手は、スライダー(ファスナーを開け閉めする本体)に付ける部品です。作りやすい金具ですが、付け方を先に決めないと使えません。

付け方は大きく3つあります。

  • 既存の引き手に付け足す:引き手の穴に輪でつなぐ。スライダーはそのまま使え、飾りに大きな力はかかりにくい
  • 引き手を付け替える:スライダーの取付部に通す。外せない構造のものも多く、開閉の力を受けるので強度確認が要る
  • スライダーごと替える:号数(太さの規格)に加え、ファスナーの種類・構造・メーカーの適合情報を確かめる。実物や品番をもとに交換できるか判断する

あわせて、次の寸法と使い心地を確認します。

  • 取付部の穴の大きさと、引き手を通す橋のような部分の太さ
  • つなぐ輪の線の太さが、引き手の穴を通るか
  • 引き手の長さと重さ(重いと揺れてバッグに当たり、傷の原因になる)
  • つまむ部分の厚み(薄すぎると引きにくく、曲がりやすい)

丸カンは、強く引かれると合わせ目が開くことがあります。開きにくさを重視するなら、キーリングのような二重リングも候補です。輪の種類はアクセサリーパーツの名称と役割で確認できます。

現物・写真・図で伝える情報

確実に伝わる順に、現物、寸法入りの図、写真です。できれば組み合わせて送ります。

伝え方 伝わること 注意点
現物(ベルト・スライダーごと) 厚み・硬さ・色まで 返却が必要かを先に伝える
寸法入りの図 内寸・外寸・穴の位置 内寸か外寸か、単位を明記する
写真 形・雰囲気・使い方 定規を当て、真上と真横から撮る

図と一緒に次の情報も伝えると、やり取りの往復が減ります。

  • 付ける先:バッグの種類、ベルト幅と厚み、スライダーの状態
  • 使い方:肩に掛けて重さを受けるのか、飾りなのか、想定する荷物の重さ
  • 素材と色:隣に並ぶ既製金具があれば、その色に合わせたいか
  • 機構部分に使う既製品が決まっているか
  • 数量と時期:必要な数量、追加生産の予定、希望納品日
  • 販売する場合:希望の上代(販売価格)
  • ロゴを入れる場合:自分が権利を持つロゴか、権利者の許諾があるものか

販売品は、上代から逆算して重量・素材・数量・工程の数を調整します。考え方は料金の考え方にまとめています。

よくある失敗は、斜めから撮った写真だけで寸法を伝えることです。遠近で長さがずれて、内寸の足りない金具になりがちです。

伝える項目は発注仕様シートで整理できます。

1点なら既製品と比べる

オリジナル金具は1個から作れます。ただし原型(型の元になる形)を作る分、1個あたりは高くなります。小ロットの考え方は1個からの小ロット製作にまとめています。

「バッグ用アジャスターが1点だけ欲しい」という相談では、先に既製品を探すほうが合理的なこともあります。

選択肢 向いているケース 注意点
既製金具をそのまま使う 寸法と強度が優先で、形へのこだわりが少ない 色や形の選択肢が限られ、用途の適合確認は要る
既製金具+オリジナルの飾り 機構や荷重は既製品に任せ、らしさを出したい 飾りの付け方と重さを考える
金具全体をオリジナルで作る 形そのものが主役で、今後も同じ型を使う 寸法と荷重の確認、試作が要る

判断の目安は次のとおりです。

  • 同じ寸法の既製品があり、不満が見た目だけ:飾りを足す形を先に考える
  • 複数のバッグや追加生産で同じ金具を使う:原型を作る意味が出やすい
  • 強い力がかかる位置:用途に合う既製品に任せ、飾りをオリジナルにする

迷ったら、荷重は既製品、見た目はオリジナルと分けて考えると選びやすくなります。

まとめ

  • 鋳造に向くのは、動かない一体の形をした飾り寄りの金具
  • バネ・ねじ・回転部は、既製品や別の加工と組み合わせて考える
  • 寸法は接続先から決め、内寸と外寸を分けて伝える
  • 力がかかる部分は断面を太くして角を丸め、合格の目安を決めて試作で確かめる
  • 1点だけなら、既製品や「既製品+飾り」の形とも比べる

接続先の寸法と使い方を発注仕様シートにまとめ、写真と一緒に無料相談へ送ってください。鋳造で作る部分と既製品に任せる部分を分けてご提案します。

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